【レポート】交流会「新町会長と一緒に考えよう! 地域コミュニティのこれから」
2024年11月24日・26日に開催された「未来へつなぐ これからのコミュニティヒント展」では、展示に加え、交流会も実施しました。
その一つとして11月26日(火)に交流会「新町会長と一緒に考えよう―地域コミュニティのこれから」が万世橋区民館で開催されました。
本交流会は、令和4~6年度に新しくなられた町会長になられたのみなさんから「町会の取り組みの紹介」や「会長になられた思い」などのお話をお伺いし、そのお話をヒントにこれからのコミュニティについて考えていくことが目的です。
各町会の紹介
ご出席いただいた神田猿楽町町会 青野芳久会長、須田町北部町会 原田勝信会長、神田東紺町町会 北村隆男会長から、それぞれの町会の特徴や、コミュニティに対しての思いなどについて、順にお話しいただきました。
○神田猿楽町町会 青野芳久会長
町会の役割は、「安心・安全で暮らしやすく、楽しい地域社会」の実現にあります。安心・安全の面では、防災や防犯に対応していく必要があり、防災訓練などもそうですが、例えば東日本大震災時に明治大学が帰宅困難者を受け入れたように、大学との連携も重要と考えています。
また、「楽しい地域社会」を目指して、体育大会や錦華公園でのイベント、町会員のアイデアによる水鉄砲大会「ちよだスプラッシュ」などを実施し、住民同士のコミュニケーションを深めています。
さらに、デジタル活用を推進し、回覧板を廃止してWEBやSNS、YouTubeでの情報発信や、役員間ではLINEやZoomを活用した効率的な連絡体制を整えています。
デジタルの活用で日常のつながりも強化し、さらに、緊急時の連絡手段としても欠かせないと考えています。
一方で、町会としては後継者の育成が課題であり、若い世代をに入ってもらうため、新しいイベントや勉強会の開催にも力を入れています。
町会を通じて、地域がより豊かで安心できる場所となることを目指しています。
○須田町北部町会 原田勝信会長
私たちの町会は、町内には朝ドラで有名な竹むらなど老舗も多く歴史と人情にあふれた地域です。
マーチエキュートとのコラボレーションによる地域のお店を紹介する食味連雀会などにも参加しており、地域を盛り上げる取り組みも行っています。
1年を通して多数の行事を行っていますが、納涼会や神田祭は、地域で顔の見える関係を築き、町会としての結束を深める大切な機会です。
一方で、新しい住民の増加が少なく、企業に支えられる部分も多いのが現状です。神田祭りにはたくさんの人が協力してくれています。しかし、企業の担当の人は異動で変わることも多いので、企業会員同士で情報を共有してもらうことで、新しい担当の人も戸惑うことなく参加できるようにしてもらっています。
また、元住民の人で熊本から毎年神田祭りや納涼祭に参加してくれる人もいます。町会運営は人が鍵であり、人材豊富なこの地域で、彼のように「やりたい」と思う方が現れることで、さらに活性化していくと信じています。
これからも地域と人をつなぐ活動を続けていけたらと考えています。
○神田東紺町町会 北村隆男会長
神田東紺町は文字通り染め物に由来がある地域です。昔から商業地区で問屋さんがたくさんありましたが、最近は変わってしまい、金物通りという通りの名前がありますが、金物屋さんは1軒もないという状況です。マンションが増えてきています。
町会活動は何のためにあるかと考えると、防災と親睦が二つの柱ではないかと考えます。
防災では、防災訓練に参加するのはもちろんですが、毎年、防災セミナーを開催しています。町会員である富士商会の顧問の先生を講師に迎え、近隣町会にも声をかけて実施しています。
また、親睦を深めるために、ウォーキング大会を毎年開催しています。ウォーキング大会もただ歩くだけでなく、美術に詳しい会員の協力を得て、区内にある銅像巡りをするなどの工夫を凝らした企画を行っています。
過去に、連合町会で地域の人にインタビューした冊子をつくりましたが、その中で、GHQに町会活動が禁止されていた時代があり、その後、町会は自分たちで、自分たちの町のために作っていったものだという記載があります。これが町会のあり方の原点だと思っています。
まちの様子が変わっていく中でこれからの町会について色々と考えることもありますが、防災と親睦に加え、伝統行事を意識的に実施し、次世代に引き継いでいかないといけないと強く思っています。
これからの町会についてパネルトーク
パネルトークでは、「これからの10年に向けて」「新しい人の関りをどう作るか」というテーマについて話しました。
■これからの10年に向けて
- SNSやデジタルの活用で町会外への幅広く情報発信をしていくことが重要。また、内部の連絡などの省力化を図っていく。
- 老舗は味が変わらないといわれるが、少しずつ時代にあわせて変えている。町会も同じではないかと考えている。変わらないねといわれつつも、その時代にあわせたベストなやり方になれば、と考えている。
- 20代が町会を盛り上げてくれていて、わらじの履き方、買い方などのイベントを面白がってやってくれている。自分たちが当たり前のことも当たり前でない時代になっていく中で、そうやっていくのかと感心している。若い人から学ぶことも多い。
■新しい人の関りをどう作るか
- まずは地域のイベントなどに参加することがスタートではないか。そのために新しい、楽しいイベントを実施していきたい
- 防災などに関心がある人が多いので、タイムリーな企画をし、それにご参加いただければよいのでは。
- 若い人が企画するイベントに参加してもらいたい。小さな取り組みをたくさん実施して、口コミで広げていきたい。
また、今回ご参加いただいた、富士見二丁目町会 鏑木会長と、西神田町会の角田会長からも、町会での取組みについてご紹介をいただきました。
■富士見二丁目町会 鏑木会長
他の町会も苦労をしながらも工夫をされていることが分かりました。今日のようにもっと横の町会のことを知る機会があればと思います。
私たちのマンション住民の人と町会の接点をつくるためのイベントを実施していますが、アイデア自体は地域の若い人や、団体さんとコラボすることで借りていくしかないと考えています。学生のボランティアや、企業会員に役員になってもらうなど、色々な人たちの力を借りて運営していきたいと考えています。
また、LINE公式を使い、町会情報やまちの情報が誰でも受け取れるための取組みをしています。そこから少しでも町会のことを知ってもらえたらと考えています。
■西神田町会 角田会長
西神田YouTubeに取組んでいます。実際に取組んでいて、町会外の若い人に情報を届けるといった点において意義はありますが、だからと言って、すぐに町会が活性化するとは限らないと考えています。ネットに何か情報をあげたら町会が活性化するのというものではないのではないでしょうか。
毎月発行している町会誌「西神田便り」を配りながら顔を会わせるというのも、時代に逆行していたとしてもつながりづくりといった意味においては、とても大事ではないかと感じています。
今回の交流会を通して、地元でずっと地域に関わっているベテランの方にとって当たり前のことが、今の時代の若い人にとっては「なぜ?」ということもあり、その違いを発端に新しい発想でイベントづくりをしたり、若い人のアイデアを企画に取り入れたりといった取組みを、どの町会もされていることがわかりました。まさに、変わっていかないと「変わらずに残せない」ということで、これからのコミュニティづくりの示唆を頂いた会となりました。
参加者の声
- 各町会が様々工夫して活動していることがわかり興味深かったです。他町会の取り組みが参考になると思いました。
- 今の時代に合った活動・取り組みを行えば、変化の中でも『変わらない』ことにつながるということが、深い言葉だと思いました。
- 多くの町会がそれぞれの特色を持って、活発に活動していることに驚いた。このような情報発信が大切では。
- 地域創生はよそ者の力を取り込んで実施しているが、町会においても企業など在勤者の力を取り込んでいることを知り、発展性を感じました。
- 各町会長皆さんの考えがわかり、楽しい会でした。
■アーカイブ動画
当日のアーカイブ動画を、ちよだコミュニティラボのチャンネルで視聴できます。
資料はこちらよりご覧ください。