【地域課題解決支援事業 レポート】町会Q&A会議

(1)第1回 町会Q&A会議

地域課題課題伴走支援事業の会議を進めていく中で、新しくお住まいになった方向けの町会や神田住まいに関するガイドブックを作成することとなりました。そのガイドブックの一つのコンテンツとして、町会についての疑問・質問を取りまとめた町会Q&Aを作成することとなりました。よりリアルな声を反映させるため、新しくお住まいになった方、町会活動に参加していない方にお集まり頂き、疑問に感じていることなどをお話頂く「町会Q&A会議」を開催しました。

11月に開催された第1回目の会議には、20~40代の5名の方にご参加いただきました。
引っ越してきて町会に入った人、町会に入っていないが地域活動に関わっている人、町で生まれ育って婦人部・青年部の活動をしている人、地域の会社員などが集まり、地域に関わる活動をしているが町会活動に最初参加しはじめたころに戸惑ったこと、疑問に思ったこと、また、新しい住民の視点から、若い人を巻き込むために必要と思うことなどについて、意見を出し合いました。

その中では、

  • 町会に入る以前は、新年会などの案内がポストに入っても、自分とは関係ないものだと思っていたので、スルーしていた。
  • 引っ越してきた時に町会って思いあたらない。説明されてもイメージできない。住んでいて、問題や祭りへの参加などのきっかけがあった時に、急に町会が浮かび上がってくるのでは?
  •  町会内で古くから住む人同士は子どもの時からお互いを知っている関係で仲良く、プライベートも共有している。生まれ育った者にとっての当たり前が、新しい人と感覚が違うということ自体にも気づけないのでは?
  •  引越ししたばかりでは慌ただしくて、個人では町会に入るという発想は出てこない。区の窓口で案内をしてもらったり、また、落ち着いたころに町会加入を考えるようなきっかけの提供が必要ではないか。
  • 町会は大変そう、負担がありそうと思うが、具体的に知った上で思っているのではなく、あくまでもイメージ。町会の活動は何が楽しくって、どれくらいの負担が必要で、どれくらいの頻度で集まっていて、どう参加したらいいのか。新しい住民のような外部からは見えた方がいい。
  •  地域の活動というと在住者でも分譲マンションなどの永住する意向の高い人ばかりに目を向けがちであるが、神田は20代の一人暮らしの若者にとっても住みやすく、安全な街であるため、その部分のPRや情報発信をしたり、そうした若者に町会活動に参加してもらえるような仕組みや仕掛け、町会として意識を向けることが必要ではないか。

といった意見がでました。

新住民側としても、自分の住んでいる地域に対する関心の低さも問題であることも挙げられました。日々の生活の中で忙しくしている中で自分の生活以外のことに目を向けることが難しい一方で、会社のつながりも弱くなっている中で地域のつながりは新しい可能性と考えているという意見もありました。

引き続き、第2回目も実施し、多くの新しい住民の方の意見をお伺いしていきます。

(2)第2回 町会Q&A会議

12月に開催された第2回目には、町会に入りたいと思っているが二の足を踏んでいる方、青年部として活動しておりもっと若い方を呼び込みたいと思ってらっしゃる方、地域のつながりづくりに興味のある方など、20~70代の7名の方にご参加いただきました。

話し合いの中で、活動の対象者についての線引きについての話もでました。現状、ずっと地域に住む予定の人が対象となる傾向にあり、一人暮らしの若い人や賃貸マンションの方は対象とされない傾向にあるが、これからの町会を考えた場合に、多様性も受け入れるべきではないかといった意見もでました。
また、現状、情報発信も含め、若い人を受け入れる体制が整っていないのはもったいないのではないかといった意見もでました。すべての人が町会に入る必要はないが、町会や地域の活動をやってみたい、興味があると言っている人を逃しているのは、人手が不足しつつある町会の中で、もったいないのではないかという話となりました。そのために、連絡先や問い合わせ先を明記したり、多くの人が参加する祭りなどで接点が持てるように、受付や問い合わせブースを設ける、町会員以外の人も入れる休憩所などを作るなどをすることで、第一の接点になったり、声をかけやすくなるのではないかということになりました。
一方で、町会としても地域や祭りを守っていくという責任があるなかで、誰でも加入OKとできない事情もあるということも理解すべきであり、それを理解した上で、重要なことを決定する人、まずはお手伝いをする人など、きちんと役割分担をすべきでないかとの話もでました。
さらに、町会単位では難しいような若い人へのリーチとしては、町会の枠を超えたゆるい繋がりである「地域活動や神田に興味がある若者のグループ」を作り、次世代の担い手候補をプールするような場としてはどうかといった意見もでました。

第3回目は、新住民の方と町会長さんと一緒に、町会の疑問などについて意見を交換する会となります。

町会Q&A会議(第1回・第2回)で出された主な質問

〇町会の活動の状況は?

  • 町会は大変そう、負担がありそうと漠然と感じていますが、実際に町会の活動に参加すると、何が楽しくって、どれくらいの負担が必要なのですか?
  • 新しい町会員に期待することは? どの程度の貢献を求めていますか?
  • 若い世代、一人暮らしの人が町会に入ると、どんないいことがありますか?
  • 町会は既にできあがっている仲のいい関係のように思うが、外からの意見を言ってもいいのですか、聞いてもらえる余地はあるのですか?

〇町会の組織は?

  • 町会長、役員、〇〇部など、町会の組織はどのようになっているのでしょうか?
  • 町会には誰が入れるのですか? 地域外の人は? 審査はあるの?
  • 今、住んでいるが、いつまで住むかわからない人も、町会員になれますか?
  • 御茶ノ水から小川町まで毎日歩いて通って働いている人も、コミュニティの構成員という考え方は、どう思いますか?
  • 私は町会長になれますか? どういう条件を満たせばなれますか?
  • 隣の町の町会に知り合いが多数いて、町会長や青年部長の考えに共感している時、入ってもいいのですか?
  • 地震が来た時、避難所で受けいれてもらえる人は誰ですか?

〇町会に入るには?

  • 自分の町の町会のことを、どこで知ればいいのでしょうか? 町会の問い合わせ窓口のような存在はあるのでしょうか?
  • 子どもがいない世帯は、どう地域と関わりを持ち始めたらいいのでしょうか?
  • 新しい人が入りやすいようにどのような配慮ってありますか?
  • 町会に入って間もない自分のような者が「町会に入ったら?」と声かけをしていいのでしょうか?

〇新しい人が地域に関わるには?

  • 神田をもっと知りたい、関わりたいという人は何から始めたらいいでしょうか?
  • 町会に本格的に入る前に、地域の人と知り合い、一人暮らしや若い世代も気楽に参加できるような機会から地域に関われたらと思いますが、どう思いますか?

〇町会と地域の関係は?

  • 町会の決定=町の住民の意思決定ということなのでしょうか?
  • 地域と関わりの深い人が町会の中心メンバーだとして、町会は公的な意味もあると思うのですが、町会員に入っていない人の意見をどう扱うといいと思いますか?

(3)第3回町会Q&A会議

1月14日に、町会Q&A会議の第3回目を開催しました。

今回は、新しい住民の方に加え、町会長さんもご参加いただき、町会について教えて頂く会となりました。
神田公園地区連合町会からは8名、また、一般参加者として4名、神田公園の冊子を作成するための編集チームから2名の参加がありました。
自己紹介の後、これまでのQ&A会議ででた疑問や論点などの共有とそれについての意見交換をしました。
また、事務局より、新しい住民の方やこれまで町会に参加していない方にも、気軽に参加できる機会を提供するための「神田っ子チケット」の案について提案しました。神田っ子チケットは、夜警や餅つき、レクリエーションなどにこれを提示すれば参加できるとすることで、町会行事への参加のハードル下げるためのものです。あくまでも町会との接点づくりのためのツールの一つという位置づけであり、作成予定である地域や神田公園地区の町会活動についてお知らせする冊子を「使えるもの」とするための仕掛けの一つでもあります。

町会長さんにとっては、新しい人からの素直な町会活動への疑問などの声を聞く機会となりました。また、参加者にとっても、町会活動の深さや町会長さんたちがいかに責任を持って町会活動に取り組み、町を守っているかという心意気や姿勢を目の当たりにするちょうどよい機会となりました。

今後、1~3回の会議で出された意見及び神田っ子チケットのアイデアなどを踏まえ、神田の魅力や神田の地域活動について知らせる「KANDA住みこなしガイド」作成を進めていきます。

【町会長からの意見】

  • 連絡窓口をきちんと示す必要があると思った。(区で配布している「町会ライフ」のような情報誌に記載する、イベントなどで配布するお菓子に入れておくなど)。そうすることで、お手伝いを募集していることなどもわかってもらえる。
  • 防犯カメラなども町会も負担している。行政では届かない街の安全を守ることも町会は関わっている。そのことも住んでいる人は知ってもらいたいと思う。
  • 町会ごとに、新しいマンションの建築状況や、オフィスが多いかどうか(企業会員が多いか)など、ぞれぞれ状況が異なっているのを知ってほしい。
  • 時代とともに構成員が変わるのは仕方がないことだ。また、これまでと同じことをやる必要はないかもしれない。さらに、これから、もしかしたら、住んでいる人だけで町会が運営できない時代が来る可能性はある。しかし、そうなっても神田らしさは引き継いでもらいたい。祭りも、単に楽しいだけでなく、江戸時代から続く意味などを理解して引き継いでもらいたいと思う。同じく、地域にたくさんあるお稲荷さんにも意味がある。そういったところにも目を向けてもらいたい。
  • 新しい人が、一気に町会に入るということにはならないとは感じている。少しづつ顔見知りになってという段階が必要だと思う。そういった意味で、お祭りや掃除などのイベントに誘いコミュニケーションの機会を増やしていくことが必要だ。
  • たまたま飲み屋で知り合って顔見知りになって町会に入ってくれたという経験もある。そうしたコミュニケーションは必要だが、町会単独でイベントを開くのは、人手も足りないので厳しい状況ではある。外部のイベントには協力できるので、その時に、町会のブースなどが設置できればいいのではないかと思う。

【参加者からの意見】

  • 町会と新しい方との接点を作るのが難しいことが改めて理解できた。町会と聞いただけで拒否反応をする人もいるので、新しい方へ色々な入り方のパターンを示すのがよいのではないか
  • 今日、町会長さんの話を聞いて楽しかったので、町会に入ってもいいかなと思った。顔見知りになることは大事だと改めて思った。