マンション・コミュニティ・ゼミより
コミュニティの基礎知識(3)~ 問いを分かち合う
現代の都心で、マンションで、コミュニティをつくるとは、どういうことで、どんな意味があるのでしょうか? また、人のつながりをつくり、コミュニティを醸成していくには、どのような取組が必要になるのでしょうか?
コミュニティづくりのヒントとしていただくために、マンション・コミュニティ・ゼミでの内容をもとに、基本的な考え方を紹介していきます。
前回は、コミュニティの課題と条件を見てきました。コミュニティとなる条件の一つが「課題を分かち合っている自覚」でした。では、なぜ課題を分かち合うことが必要なのでしょうか?
人と人が話をしたり、つながったりする時には、間に何か共通するものが必要です。
例えば、知らない人同士でも、犬や赤ちゃんを介すると話をしやすかったりもします。同じように、共通の関心事や好きなこと、例えばサッカー好き同士だと話が進めやすかったりします。
では、多様な人が住んでいて、趣味や生活状況も違う地域において、人がつながるには何が間に入るといいのでしょうか?
その一つが「地域課題」です。
地域課題というと難しそうと感じて、最初は興味がないと思う人も多くいます。ただ、自分の身近な場所で起きている課題があり、それが自分や隣人に影響を与えるということを理解していく人が増えていけば、地域課題は分かち合えることの一つとなれます。
その際、ポイントとなるのは、ただ誰かに問題が起きているだけだと、その人の問題となってしまい、地域課題とはならないことです。例えば、子育ての苦労を多くのお母さんがしている、介護に困っている人が多くいて、そのような問題は自分や家族にも起きうることだと感じた時。また、自分が不便と感じていること、こうなったらいいのにと思っていることが、他の人も同じように課題を感じているんだとわかった時。そのような時に、個人の問題から地域で共有できる課題となると、人と人の間にあるものとなるです。
ただ、現代の社会では地域の人同士のつながりも弱く、お互いの状況を知らないため、いきなり「共有できる課題」といっても、すぐには伝わりません。
また、問題があることがわかっても、「その問題は、どうにもしようもない」と追われる時には関心を持てなかったりもします。関心を持ってもらうには、課題に加えて、その課題がどのように解決できるかイメージを分かち合う必要があります。
ですから、地域課題を分かち合うには、誰かが最初に呼び掛ける必要があります。
「こんな課題が起きていて、こういうことを実現したい。しかし、どうしたらいいかわからない。この問題をどうしたらいいのだろう?」という”問いかけ”が、地域の多様な人たちの間で最初に分かち合えることです。
その問いかけについての対話を行うことで、多様な人たちが考えや意見を出し合い、やりとりを通してお互いを理解しあい、何が一緒にできるのかを探していく。
それが、コミュニティづくりの第一歩として、地域課題をめぐる対話が大切となる理由なのです。
千代田区の地域課題を考えるヒントとして、千代田区の基本計画「ちよだみらいプロジェクト」が参考になります。
ゼミ生の皆さんの考えたテーマから、対話を行う公開対話「聴こう 話そう!これからの千代アのコミュニティのこと」を、2017年9月10日(日)に開催します!