【レポート】 新町会長が語る「町会のこれから」
2023年10月31 日、 新町会長が語る「町会のこれから」を開催しました。会場とオンラインのハイブリッドで行い53名(うちオンライン20名)の参加がありました。
今回、お話を頂いたのは、令和4~5年に町会長に就任された以下の4人の町会長の皆さんです。
・ 上村友子会長(三番町町会)
・ 鏑木雅裕会長(富士見二丁目町会)
・ 天野久美子会長(神田橋町会)
・ 細野哲雄会長(神田松住町会)
各町会の取組みや、町会長の皆様の地縁コミュニティに対するお考えなどから、これからの地域や町会を考える際のヒントを得たり、町会の活動をより知って頂くきっかけとなることを目的としています。
挨拶
開催に当たり、コミュニティ総務課の千賀課長より「本日のテーマは『町会のこれから』ということで、地域コミュニティの核とも言える地縁団体の町会を支援する区としても、こういう機会に相互の町会の皆さんの理解や、課題の共有などに繋がればという思いで開催をしている。また、町会はまだ加入してないけど関心があるという方には、町会をより知っていただく機会になればと考えている。今回パネリストとして参加頂いた4名の町会長さんに多忙の中、様々なご協力を賜ったことに対してお礼を申し上げたい」と挨拶がありました。
各町会の活動紹介
まずは、町会長の皆様から、各町会の特徴や取組みなどについてご紹介をいただきました。
三番町町会の紹介
三番町町会は、住民約3700人、町会員約2600人(860世帯)と加入率は高いといえます。戸建てや商店がほぼすべて集合住宅になり、新しい住民の方が入ってきています。
町会活動としては、地域の皆さんが気軽に参加できるイベントを企画し、活動しています。
また、インスタグラムやFacebookなどのSNSや掲示板を活用した町会行事のご案内など、情報発信なども工夫して取り組んでいます。
富士見二丁目町会
富士見二丁目町会は、JR飯田橋西口より外堀に沿って南西に広がる地区です。
近年、マンションを中心に町会加入率が低下し、まず町会のことを知ってもらいたいと、ホームページのほか町会の公式LINEも作り、登録を呼びかけ、こちらから情報を届ける仕組みをつくっています。子ども向けイベントのほか、高齢者向けには千代田区社会福祉協議会や法政大学の学生さんに協力してもらいながらスマホ教室、町会デジタル教室を開催しています。
神田橋町会の紹介
神田の区営の住宅として約40年前に建てられた一棟(14階建て)の住民により構成されている珍しい町会で、現在は80世帯中30世帯が75歳以上の高齢の世帯になっています。
工夫していることは防災訓練で、年度の初めから必ず出てほしいとお知らせし、14階の各フロアに代表の方に出ていただいています。また新年会の開催や、敬老会コンサートに誘い合って行ったりと交流に力を入れています。一人暮らしの高齢の女性の方も多く、交流会に参加した方から「本当に楽しかった」と言われることもあります。
神田松住町会の紹介
住所は千代田区(万世橋地区)ですが、神田神社の氏子ではなく、歴史をさかのぼると湯島と縁があり、湯島天満宮の氏子として、2年に1回祭礼に参加する特徴のある町会です。今も住んでいる人は20世帯くらいの小さい町会ですが、住民だけでなく企業の人なども含めて、コミュニティ活性化につながるよう、秋のさんまパーティや納涼会など、いろいろな行事をやっています。
これからの町会活動についてのパネルトーク
各町会の紹介の後は、以下のテーマについて、それぞれの会長のお考えや各町会の取組をお伺いしていきました。
■町会長を引き受けるにあたって思ったこと
- 昔から住んでいる人が少なくなってきている中で、なかなか難しい面もあるが新しい人や企業の人にも参加してもらえるように工夫していきたい
- 「町会とは何か」「町会がよくわからない」「閉鎖的」と言われることが多いので、少しでもオープンになり、町会を外部からもわかるようにしていきたい
- 前会長さんたちがやってきたことを引き受けて、整理して、次に引き継ぎたい
- 「町会ってなんだろう」「町会の役割が何なのか」を考えた。試行錯誤しているが、色々なことに取り組むことで、少しでも町会と関わりを持つ人が増えたらいいと考えている
- 町会員の人たちが少しでも集うことで楽しんでもらったり、地域で楽しんでもらえるように情報を伝えていきたい
■町会活動をしていての楽しさや魅力は
- 自分の住んでいる足元である「町」の仕組みを知れることがよい
- 町会活動を通じ、「人と会って話すこと、集まることが楽しい」。知り合いが増えていくことが楽しい
- 多くの方と一緒に、イベントなどを実施し参加者の人に喜んでいただけたときに達成感を感じる
- 町で顔を合わせて話せる人がいること
■新しい人の参加を増やすには
- 子どものイベントをきっかけに親世代にも町会活動に関心を持ってもらえるようにしたいと考えている。そのためには、子どもさんが参加できるイベントの内容などに工夫をしている。
- 子育て世代への助成金受給に町会入会が条件となっており、そのタイミングで入りたいと言って下さる人がいる。加入いただく際には、コミュニケーションを密に取り、ずっと町会加入してもらえるように気を配っている。
- 何かのきっかけ(行事やイベント、ホームページ、LINE、掲示板等)で、まずは町会を知ってもらうことが大事と考えている
■町会の情報発信の工夫
- 町会の掲示板が意外と見られていて、そこからイベントなどに来て下さる方も多い
- 町会行事やイベントの告知の際には、早めに日程を告知、途中での再度のお知らせ、間際のリマインドなど、段階的に発信する工夫をしている
- 町会長個人のメールや電話ではなく町会の連絡先を作成し掲載することで、気軽に連絡をいただくことができるようになり、町会内の方との交流も増加した。町会の連絡先を取得するため、区のデジタル活用支援事業を活用し、町会用のスマホも契約した。
- 町会ホームページの作成、町会の公式LINEの作成を行い情報発信に努めている。ホームページは(相手に)見に来てもらわないとならないため、イベントがあるときは参加者にLINE登録を呼びかけ、登録してくれた人に対しては町会から働きかける形の情報発信ができるようになった。
- 町会ニュースを作成し、イベントや町会行事の前の周知、実施した後の報告をするようにしている。見て頂けているかわからないが、企業会員やマンションにも配布し続けている
■これからについて
- それぞれの町会だけでがんばるのではなく、外部へSOSを出す時代。みんなで(町会同士で)協力し合えるところは、していけばよいのではと考える
- マンションにおける町会への全世帯加入から個人の意思による加入となるなどして、町会からの脱退や非加入が進み、加入率の低下が懸念される。試行錯誤しながら、多くの人が関わってもらえるような工夫をしたい
- 役員のなり手の減少や高齢化が課題だが、これを「できない理由」にするのではなく、地域の力、ボランティア、区の協力、企業の人の力を借りながら、地域の皆さんに「町会に入っててよかった」と言っていただける町会にしていきたい
参加者の声
会場からは、町会に関わっている方からは「ジェンダーの意識の社会的変化と町会活動について」、最近町会に加入した方からは「敬老会のプレゼントをもらったときに連絡先があったのでお礼が言えてよかった」というコメントや「町会の連携について」の質問が挙がりました。
また、アンケートにおいては、それぞれの立場より、以下のような感想や意見がありました。
今回のイベントでは、多くの町会の関係者の方にご参加頂きましたが、中には、町会に加入していない人の参加も散見されました。
町会に加入していない方からは「初めて町会長さんにお会いして熱意を知れた」「町会のことを詳しく知ることができてよかった」という声がありました。
また、町会に関わっている方からは、本日のような町会横断的な意見交換の場を評価する声もあり、継続的な開催を期待するといった意見もありました。
<アンケートより抜粋>
〇全般
- 会長を引き受けてくださっている皆さまには頭が下がります。いつも地域のために、ありがとうございます。
- 町会長のみなさまもこれからの町会活動の在り方について模索していることがよくわかりました。あらたな時代になり、町会だけでは限界もあることから企業や学生などを取り込みながら工夫をしていかなければならないこと、情報発信していくこと、近隣町会との協働など、これからの地域づくりには大切なキーワードだと感じています。
- 「リアルで会って話すことの楽しさ」というお話が印象的でした。
- 千代田区という日本の中での最都心部で、地方都市に同様、高齢化、人口減少の影響によるコミュニティ欠落が進展しているという事実に、非常に衝撃を受けた。
〇町会長さんの考えを直に聞けてよかった
- 町会活動を担う皆様の「生の声」を聞くことができ、町会(コミュニティ活動)の課題を知る上で大変新鮮な機会だった。(複数)
- 町会の実態、人の顔が見えてとても参考になりました
- 各町会の悩みと期待の共有は、とても勉強になりました。
- 他町会の現状をきけて、一言千代田区といっても色々あるなと思いました。
〇情報発信について
- 情報発信がいかに大事かと感じた。段階を踏んでのお知らせ等。
- 町会でデジタルをとり入れて、人と人とがつながる取組を聞けて自分の町会でもとり入れたいと思いました。
- 町会掲示板が思った以上に見られているとのことで、まだまだネットではない告知が有効だということが分かり、今後に役立つと思いました。
- (町会専用の電話番号とメールアドレス等)チョットした問い合せができるとよい(参加するためのハードルを下げる)
〇他町会との連携
- 他町会と連携したり、(祭り等)行わない選択をするものありだと思いました。
- 町会の枠を超えたイベントがあるとよい。
〇町会未加入の方、最近加入された方から
- 区内に住んで2年半ほどで、町会に未加入ですが、今回初めて各会長さんの熱意や努力を強く感じました。
- 町会の事はよくわからなかったので、参加できて知れたのが良かったです。
- 最近、町会や地元消防団に入ったこともあり、入る前と後では、やはり町会活動の内容・見え方がまるで違い、情報共有や、地域柄企業との連携、何よりも町会自体を知っていただくことの大切さを理解しました。
〇今回のようなイベントを次回も期待
- 今回のような内容で、青年部バージョンや婦人部(女性部)バージョンをやっても面白いと思いました。
- 町会長同士での意見交換があると良いと思います。
今回実施してみて、町会横断的に集う場、地縁コミュニティについて多様な人で集まり意見交換する場に対する期待が高いことが伺えましたので、今後も、色々なテーマの会を開催していく予定です。