【レポート】 基礎編1 まちの情報をシェアしよう シェアリング@千代田

「シェアリング@千代田~マンション・コミュニティ・ゼミ2018」が7/6(金)から始まりました。

「シェアリング@千代田」は、自分と時間をもっと活かすために、シェアを暮らしに取り入れるためのアイデアをつくり、試してみるプログラムです。基礎編では、アイデアづくりのヒントとして、実践者のみなさんの活動を知ることから始めています。

基礎編1のテーマは「まちの情報をシェアしよう」。

千代田区には、たくさんのイベントや活動、充実した施策がありますが、在住・在勤であっても情報を知らないまま過ごしてしまいがちです。また、活動する側にとっても、なかなか情報が新しいマンション住民の方に届きづらい状況もあります。施策や活動などの情報をシェアするには、どうしたらいいのか、ゲストの方、区内での活動実践者のお話を伺い、考えました。

1.東京メトロの地域連携(まちの情報発信)の取組み紹介

最初のゲストは、東京地下鉄株式会社経営管理部主任 志田裕介さんです。

千代田区内には東京メトロ全179駅のうち30駅があり、8路線が通っています。これに都営地下鉄やJRも加えると千代田区内には本当にたくさんの駅があるのですね。
東京メトロの1日平均輸送人員は増加しており、現在では740万人に達しています。また訪日外国人の利用者数がこの3年で1.5倍、6万人にまで増えています。社会状況の変化に応じて、東京メトロは通勤・通学や仕事での利用を主な対象としていましたが、多様なニーズに応える取組みを進めています。
その一つが、「地域との連携」です。「東京とともに成長」をキーワードに、沿線地域との連携を強化し、駅周辺の魅力を発掘・発信していく取組みを進めています。

Find my Tokyoキャンペーン」は月替りで一駅にスポットを当て、駅周辺の魅力を発信しています。CMやポスター、フリーペーパー、お出かけ情報サイトとの連動やウォークラリーイベントも開催しています。千代田区では日比谷、竹橋、半蔵門が取り上げられました。

また、「街の御用聞きプロジェクト」として、駅の係員が中心となって駅周辺の活動に参加したり、駅は「東京の魅力の発信基地」として案内業務を担うサービスマネージャーの設置フリーペーパーなどの配布を行っています。駅には、駅周辺の地域活動のチラシを紹介できる「地域ポケット」が設置されています。非営利な地域活動ならメトロの駅にチラシを設置してもらえるのです。

そして、新しい試みとして「アクセラレータープログラム」が始まっています。

社会課題の解決」「東京を楽しく」という2つの目的で、ベンチャー企業との協働の取組みを進めているのです。その一つが、チラシ共有アプリ「ためまっぷ」との協働です。今までは、東京メトロからの情報発信中心でしたが、ためまっぷの活用を通じて、東京メトロがプラットフォームとなり、情報のシェアを進めようと考えています。千代田区は、この5月から東京メトロのためまっぷ実証実験を後援しています。

2.「ためまっぷ」の紹介~紙チラシ共有アプリでゆるくつながる

「ためまっぷ」は、チラシを写真に撮り、日付と位置情報で検索できるようにするアプリです。ためま株式会社 代表 清水義弘さんから、ためまっぷの開発の背景と活用紹介をしていただきました。

イベント案内のウェブページなどデジタルでの情報発信も多くある中、チラシにこだわっているのは、デジタルは定型化した発信になりがちだが、チラシには作り手の思いがつまった表現になっているからだそうです。そのように思いを込めて地域活動やNPOの方たちがチラシを作っても新しい人に届けるのが難しいものです。ためまっぷは、アプリを開くだけで、近くで近日中にあるチラシを見つけることができるため、チラシを新しい人に出会う機会を広げることができます。

ためまっぷ利用者は、ためまの拠点である広島県を中心に各地に広がっていていますが、それには、チラシを写真に撮ることで地域に貢献できるとシニア世代の投稿ボランティアが広がったり、子育てイベントの参加者層が広がったと感じる活動者の方たちが積極的に使ったりしてくれているからだということです。

地域での情報シェアのツールとして、ためまっぷには大きな可能性があります。ウェブ版もありますので、一度、使ってみてイベントをチェックしてみてください。そして、活用のご意見も、ぜひ、ためま株式会社さんにお寄せください。

https://www.tamemap.net/
詳しい使い方はこちらから。
http://www.tamemap.net/howto-tamemap/

3.区内の事例紹介1 つなGOちよだ

千代田区でも、情報のシェアをテーマにした活動が立ち上がっています。

活動紹介のお一人目は、つなGOちよだ 及川浩二朗さんです。つなGOちよだは、地域のイベント情報を多くの人が知らないことを問題意識としてもった、ちよだ生涯学習カレッジ一期生10名が集まって始まった活動です。

ありたい姿として、「ボランティア団体、サークルグループ、町会を含め多種多様な地域活動が有機的につながることで、より多くの在住者、在勤者、在学者が積極的に参加し地域コミュニティが発展拡大すること」を目指し、それを阻害する要因を解決していこうと考えています。

その一歩が、情報シェアリングで、地域活動に参加したい人と、地域活動を主催・運営している人にとっての課題解決を目指しています。

地域の豊富な活動が一覧してわかったら、という思いから、区内のチラシを集め、エクセルの表でイベント情報を共有することから活動を始めています。ただ、エクセルでは読みづらさもあるため、「ためまっぷ」との協働も考えています。

そこから、地域活動団体同士がつながることで活動の幅が広がり、知り合う機会が増えることを実感できるように、千代田区内の様々な団体とコラボしてイベントなどを開催することを目指しています。

4.区内の事例紹介2 ちよだ広報部

区内事例紹介の2人目は、ちよだ広報部 三浦裕介さんです。新しく住み始めるマンション住民が増えているが、必要な情報が必要な人に届いていないという問題意識から、「ちよだ広報部」の活動が立ち上がりました。

第1回のちよだ広報部は3/16に開催し、区内在住者、在勤者の方約20名が集まり、千代田区の情報提供の現状について意見交換が行われました。

三浦さんたちは、情報発信の工夫が必要だと考えています。例えば、区の世論調査には、豊富な情報があるのですが、区民の知る機会や意味を考える機会はあまりありません。結果をわかりやすく伝えることで、地域づくりのヒントになると考えています。
また、23区の区報を比較すると、デザインも体裁も内容も大きく異なることに気づきました。近年、デザインを工夫する自治体が増えているそうですが、それだけ新しい人に関心を持ってもらいたいということなのだと思われます。
さらに、東京各地の広報の取り組みについても、リサーチしたところ、英語での情報発信を行った区、映画並みの広報動画を作った区、コミュニティラジオを新たにはじめた区もあります。

5.区内の事例紹介3 社会福祉協議会「ささえ愛まち会議」

区内活動紹介として、千代田区社会福祉協議会の野中彩希さんより「ささえ愛まち会議」の活動紹介がありました。

団塊の世代が全員後期高齢者になる2025年に向けて、地域の支え合い、助け合いの充実が大切になっていますが、地域の変化でコミュニティは弱くなっています。区内6エリアで、町会、民生委員、地域活動の担い手、企業、学生などが集まり、地域での支え合いを考える場が昨年からスタートしました。

そこでも、「情報のシェア」が大きなテーマとなっています。活動例として、富士見地区でのささえ愛まち会議の報告をご覧ください。
http://fujimi.chiyoda-gokinjo.net/2018/07/blog-post.html

6.実現したいアイデアを持ち寄ろう「まちの情報をシェアするには?」

ゲスト、区内の事例紹介をもとに、これからの千代田区で何を実現できればいいか、参加者がアイデアシートにアイデアを出し合い、共有しました。
情報のシェアを考えるアイデアシートでは、「分かち合いたい情報は?」「分かち合いたい相手は?」「情報をシェアすることで実現できたらいいこと」「アクション・アイデア」を書きました。どのテーブルでも、ご自身の経験に基づいた具体的なアイデアが出され、積極的に発言される方も多く、大いに盛り上がっていました。

その後、アイデアシートの内容を、テーブルごとにシェアして頂きました。
各テーブル、積極的に発言される方が多く、大いに盛り上がっていました。

出されたアイデアの一例を紹介します。

・「静かな場所」や「小説の舞台」「運動できる場所」「仕事の合間の散歩スポット」を、仕事仲間や取引先・お客さん・実家の家族や友人と分かち合いたい
介護予防についての情報を老若男女で分かち合い、具体的に必要なものを共有したり拠点をつくることを通じて、支え合いの地域を実現したい
福祉や地域における困りごとを、電子化して閲覧できるようにして、区内の違う地域の方たちと分かち合い、参考になる解決策を見つけたい
・これまでに収集している千代田区の情報や文化・歴史・自然・魅力を、地域の方々と分かち合って、イベントなどの交流の場を設けることで、双方向の交流を実現したい
地元のイベント情報を、小学生~大学生の若者や高齢者と分かち合って、地元の友人や旧友と再会したり、様々な世代の方の話を聞いたりできる機会を設けたい
防災、大地震への取り組みや「いざと言う時にどうすれば良いか」を千代田区全体で分かち合い、全区での大規模な防災訓練や逃げ方の訓練をしたい
・誰でもあたたかく受け入れてくれる活動の情報を、心が疲れている人と分かち合って、全てが混ぜこぜでも良い感じにし、社会の循環を実現したい
千代田区のたくさんの地域活動や便利な情報ツールなど学校では学べないことを学んでいく場を設け、学生たちの手で学校以外の千代田区とのつながりをつくりたい
ダンス・料理・焚き火・DIYなど得意なことを中高生や高齢者と分かち合って、多世代・多様なコミュニティを実現したい

最後に

ここで出されたアイデアは話して終わりではありません。基礎編で出されたアイデアや意見は、9/30開催のアイデアソンに持ち寄り、そこで参加者で実現したいものを選んだり、どうしたら効果的に実現できるかを考えます。
学びからアイデアづくり、アクションへ。
「シェアリング@千代田」の第一歩が始まりました!