【レポート】「わいわいトーク~ちよだでの活動ってどんな感じ?」
2024年11月24日・26日に開催された「未来へつなぐ これからのコミュニティヒント展」では、展示に加え交流会も開催しました。
その一つとして交流会「わいわいトーク~ちよだでの活動ってどんな感じ?」が、11月24日に麹町区民館で開催されました。
本交流会は、本会は、10月4日に開催されたちよだ文化祭「千代田でしてみたいこと会議」に参加された4名の方のお話がこれから地域活動をする方のヒントになるのではと、企画されました。
「千代田での丁寧な暮らしを話そう」を主宰する黛さんが進行を担当し、それぞれの活動や自己紹介をした後、「生活や仕事と地域活動の両立」「仲間の集め方」「地域活動で大切なこと」といったテーマについてトークセッションを行いました。
活動紹介
最初に、今回のパネルトークのメンバーである4人の方から、活動紹介、自己紹介がありました。
戸田恭子さん(Fujimi Action)
災害時に助け合える思いやりのある関係を地域の中で築きたいという思いからFujimi Actionでの活動を始めました。また、災害時だけでなく、日常生活の中で顔を合わせて立ち話をするようなつながりが増えれば、日々のストレスが軽くなることもあります。そんな顔見知りの輪を広げていきたいという思いが活動の原点です。
地域でのつながりづくりのためには、だれもが参加したくなる楽しいイベントが大事と考え、これまでさまざまなイベントを企画してきました。水鉄砲大会やフリーマーケット、食をテーマにしたイベントなどです。特に食のイベントでは、多世代の人々が自然と関われるよう工夫し、他の団体と協力したり、町会に場所を提供してもらったりして、地域と連携しながら取り組みました。
また、参加するだけでなく、主催者側の活動にも関わってもらうことで、より深いつながりが生まれることを期待しています。
こうした活動を通じて、地域の中で気軽に声を掛け合える関係を増やし、安心して暮らせるコミュニティを育んでいきたいと考えています。
野口幸代さん(一般社団法人エスコートダンス協会・ちよダン)
一般社団法人エスコートダンス協会・ちよダンは、まちみらいの助成を受けて活動しています。ダンスを通じて人と人をつなぎ、千代田区でのコミュニケーションがよりスムーズになることを目指しています。
その取り組みの一環として、千代田区の新しい名物となることを目指し、「ちよダン」というプロジェクトを地域の皆さんと共に進めています。
さらに、他の団体と連携しながら、日比谷公園での打ち水イベントや番町のたき火まつり、番九クリスマスマルシェなど、さまざまな地域イベントに積極的に参加しています。これらの場では、ダンスを通じて参加者同士が自然と交流できる機会を提供しています。
エスコートダンス協会・ちよダンは、ダンスというツールを活用し、地域のつながりを深め、誰もが関わりやすい温かいコミュニティづくりを目指しています。
黛茜さん(千代田での丁寧な暮らし”を話そうワークショップ)
“千代田での丁寧な暮らし”を話そうワークショップは、日々の忙しい生活の中で、何気ない幸せや日常で大切にしたいものを感じる時間について考える、対話型のワークショップです。
一人でも多くの人がほんの少し立ち止まり、自分の暮らしについて考えるきっかけを作りたいとの思いから、「暮らしを考え始める10の質問」も作成しました。
丁寧な暮らしの対話では、「10の質問」を使った自己紹介を行っています。その他にも、暮らしに関連する本の紹介や、区民の方をゲストにその時々のテーマについての話題提供を頂き、最後に正解のない問いをテーマに、参加者同士で対話を深めていきます。それぞれの価値観や考えが言葉として表れるこの時間がとてもよい時間となっています。
また、この活動を実際の空間に落とし込む試みとして、戸田さんの食をテーマにしたイベントに「暮らしと食の本棚」として参加もしました。
こうした取り組みを通じて、千代田区で丁寧な暮らしを考える輪を広げています。
山下美貴子さん(千代田区在住)からは、千代田区におけるコミュニティについてお話しいただきました。
日比谷文化図書館での「千代田でして見たいこと会議」に参加してことをきっかけに、さまざまなイベントに誘ってもらうようになりました。
これまでコミュニティに関わった経験はなく、特定の目的や自分軸で活動しているわけではありませんが、外に出て人と顔を合わせ、コミュニケーションを取ることの大切さを実感しています。
知らない人と話す中でたくさんのヒントを得ることができ、それが少しずつ外に出るきっかけにもなっています。
パネルトーク
パネルトークでは、「活動仲間の存在について」「地域の活動と仕事や家庭との両立について」「地域活動で大切なこと」「地域活動をして感じるつながり」「主催者側になる人を増えてほしい、そのためには?」という5つのテーマについて話しました。
■活動仲間の存在について
- 報酬もなく持ち出しになることも多いが、一緒にやってくれる人がいるからこそできている。自分の思いだけでは難しい。
- 自分ができないところを、仲間が埋めてくれる。自分一人では実現に至らないが、他のメンバーと出会うことで実現できている。
- ちよラボのつながりで、困った時に手伝ってもらいたいと言える仲間ができてきた。実際に、ラボライブなどの場で出会うことで、顔見知りになり、次から声をかけられる。
- 一方で、お手伝いは、もちろん当日だけでも手伝ってもらえたらうれしいが、一方で一緒に作りあげたいという気持ちもあり、どこまでお願いしてもよいのかは悩ましい。
■地域の活動と仕事や家庭との両立について
- ちよだ文化祭があり、色々なイベントにお互いにお手伝いをし合っているが、あれもこれもとなるととても大変で、子どもを犠牲にしてもやることか?という葛藤もある。
- 報酬もないし、やめようと思えばやめられるが、頼まれるとちゃんとやりたい気持ちもある。
- 地域の活動をやり続けるためには、ペースを考えるのが大切と思う。大きな目標を実現に向かってはいるが、続けるためにはゆるくペースを落としてもよいとも考える。
■地域活動で大切なこと
- イベントや活動に参加して「楽しかった」という時間が一番大事。そこからつながりが自然と出てくる。また、楽しかったら次のイベントなどにも参加してくれる。
- 主催者側は何らかの理想はあるが、それがどんどん柔らかくなり、臨機応変に動けるようになってくる。それも大事と考える。
- また、自分だけで頑張るだけでなく、町会の活動もコロナ後戻ってきているので、今後は一緒に取り組むといったことも考えて行きたい。
■地域活動をして感じるつながり
- 町会と連携できたのは、自分の団体立ち上げメンバーの中に町会に入っている人がいたことから。ちょうど町会でも新しい取り組みをしたいというニーズがあり連携することができた。
- ちよラボのイベントや場に行くたびに、つながりが増えてきており、次につながっている。いつも一緒にいるわけではないが、何か困っている時に助けてくれる人がいるのは心強い。そういうつながりで自分の活動はなんとかやってこれている。
- 普段マンションに住んでいると隣の人も誰かわからない中でつながりをつくるのは難しい。しかし、活動をしていると自然とつながっていって、何かの時に助けてもらえたり、気にかけてもらえるのがうれしい。
- 活動を通して、千代田の中に顔見知りが増えていくと、お互いにご近所なので、活動を協力し合えるだけでなく、生活する上でも安心となる。
■主催者側になる人を増えてほしい、そのためには?
- イベントに参加してくれた人の楽しかったという笑顔が活動の活力となるが、やってみると実は自分たちが一番楽しかったりしている。「やってみたら楽しい」というのをもっと伝えていきたい。
- 自分でゼロから立ち上げなくても、とりあえず、活動に参加してみてスタッフの様子をみて声をかけてみるとよい。誰かのお手伝いをしていることで、自分のできること、やりたいことが見えてくる可能性がある。
- 活動をしている人たちが集まる場があまりない。横のつながりをつくることが大事ではないか。
- 自分にはアイデアやテーマがなくても、頑張っている方々のお手伝いをすると、そこで顔見知りができて輪が広がっていくのを感じる。
- 「ちよだ文化祭」という響きだから、何か自分もできるかもしれないと参加してくれた人もいる。「自分も何かできるかも」を引き出す枠組みみたいなものがあるとよいのではないか。
最後にそれぞれの方より一言づつメッセージを頂きました。
戸田さん:「活動に当たり町会から色々と力添えを頂き感謝しています。これからも多くの人と連携をしていき、まちの人に楽しんでもらい、つながっていけるイベントができたらと思います」
野口さん:「パネルトークに参加して、千代田という町がこんなに愛されていると感じ、もっと盛り上げていきたいなっていう気持ちになりました。ダンスというノンバーバルコミュニケーションを活かし、地域の中での防災や防犯につながるコミュニティづくりに貢献したいと思っています」
山下さん:「お三方の志に押されて、ちょっとだけのお手伝いをしていますが、こういうことがつながり大きな輪になっていければ、この地域のよさっていうのもまた引き出せると思っております」
黛さん:「10月4日の本当に偶然から始まった今日のトークですが、皆様と何かが共有できたという実感があります。私の中にも、みなさんの中にもある小さな火を絶やさないで、いつか繋がったら大きな火になるので、ちょっとずつ持ち続けていきたいなと思いました」
参加者の声
- 3月に引っ越してきたばかりだが、町会に入ったり地域活動に参加していると温かくてすごくよいまちだと感じている。もっと地域のよさを知ってもらいたいとインスタグラムで発信をしている。イベント情報をもっと共有し、つながりが増えたらと思った。
- 地域で活動をすると、色々と苦労があるのだということがわかった。何度もお願いをしたり、色々とチャレンジしていけば、じわじわと協力者も増えていくのではないか。
- 町会としても新しいイベントを実施して、町会の新しい人との接点づくりをしたいが、町会で新しいコンテンツを作るのは難しい。その時に、Fujimi Actionやちよダンのような活動の人と一緒にやれると助かる。町会としてはお知らせをしたり、場所を確保したりといったことができるので、うまく連携できたらと考える。
- 自分は引っ越してきたときに、元々地元在住の隣の方が声をかけてくれ、そのご縁で町会に参加できている。単身世帯はなかなかきっかけがないが、やはり色々なところでつながっておくと心強いので、色々お手伝いしたいと思った。
- 千代田のすばらしさは、自分たちの収益のためだけでなく、まちでつながることで心地よい日常になると考えて、色々なイベントや活動をやってみたいという人がいること。既存の核となる町会と、地域で頑張っていらっしゃる、新しいことを生み出している方々とのつながりが、もっと深く広がっていくことを期待している。
本交流会の様子は、YouTube ちよだコミュニティラボのチャンネルでもご覧いただけます。