【開催レポート】都心暮らしの新しい幸せ(WELL-BEING)のカタチを考えよう!

2020年3月6日に、地域参加初心者のためのコミュニティキャリアを考える講座「都心暮らしの新しい幸せ(WELL-BEING)のカタチを考えよう!」をオンラインにて開催しました。当日は、23人の参加がありました。

今回のテーマは「Wellbeingとつながり」。

講師の広石より、まずはWellbeingが「よい状態で存在できる状態」であること、また、そのよい状態を考える際のベースとなる、WHO等による「健康の定義」が変わってきていることの説明がありました。

つまり、健康とは単に病気をしているかしていないか(二分法)で考えるのではなく、人は「心・社会・身体・魂(やる気)」が相互作用しながら、常に揺れ動きながら生きていると考え、それぞれの要素がどのような状態にあるかで考えていくべきというものです。

その要素には、身体の健康だけでなく、「社会的」要素も含まれ、社会とのつながりが健康には不可分であるとされているのです。

そうした考えを示す具体的な例として、病気をした高齢者の方が、病気で入院した後、家に閉じこもり気味になりフレイルになりかけていたところ、サークル仲間の1本の電話でサークル活動に再び参加するようになり、心身ともに回復していった例を紹介しました。負の連鎖に陥りそうだったところを、仲間の声がけが断ち切り、良い方向へもどしていった例です。つまり、サークル活動を通じて人とつながっていることで困難な状態を、よい状態へ戻すことができたのです。

「サークル仲間の声がけによりよい状態に戻す」というのは、医療と福祉の領域の専門家だけでは賄いきれない領域の要素です。その補いきれないこの要素は、社会とのつながりの中でしか得られないことであり、そういった意味では、個々人がWellbeingな状態でいるためには、つながりが不可分であると言えるのです。

さらに、健康に与える要素として「つながり」「社会的関係」が重要である例として、東京大学の飯島先生の、運動・文化的活動・社会参加の有無とフレイルに対するリスクの関係(一人で運動をする人よりは、運動をしなくても社会参加・文化活動をしているだけの人のほうがリスクが低いこと)などが紹介されました。

 しかし、一方で「他者とつながることのめんどうさ」があります。また、以前「知らない人から声かけられても答えてはいけないと子どもに教えているので、マンション内は挨拶禁止」という事例があったように、日本人の国民性として「一般的他信頼度が低い」ということもあります。このような現代社会の中、特に都心では「だったら、つながらなくてもいい」と思わせてしまっています。

人とつながるためには、他者とつながるリスクを受け入れ、乗り越えていくことが必要です。では、それはどうやって乗り越えていくかのでしょうか。講座では、人との関係づくりにおいて、お互いに自分への協力を求め相手からの評価を重視する関係(関係志向)ではなく、同じ目的をもって一緒に歩む仲間という関係づくり(目的志向)へシフトしくことが大切ではないかとされました。

 

 また、そうした、目的志向の仲間づくりをするためには、共に目指す目標に対して、問いを分かち合い話し合うことが重要であり、そうした問いを分かち合う場の一つが「3/13のちよだコミュニティラボライブ」であると説明されました。

参加者の方からは、

  • 一般的に企業においてはある意味「経営理念」というものによって社員の目指す方向性を共有していますが、地域活動においては同じ方向に向くことの難しさがある
  • 関係志向ではなく、目的志向、すごく納得しました。
  • 東京都心部の暮らしというのは、「つながりがわずらわしく、つながらなくても生きていける」ことに魅力を感じて暮らしている人もたくさんいるだろう中で、どう多様なつながりの質感を緩く共有し合える可能性があるかを模索することが、今後さまざまな生活のリスクがたかまっていく(気候危機や超高齢化社会など)中で、取り組んでいきたいことだなぁとあらためて思いました。
  • 日頃の顔が見えないところを、どう見える化して、信頼できるかどうかを見極められるか、なのかなと思っております。
  • お互い探り合いながらの関係性はストレスが高そう。探り合いながら関係性を構築するには心身に余裕がなくてはできなそう。今、皆、疲れているので、その余裕がないのかもしれません。
  • 地域でのつながりは、ガチガチなものではなく、「ゆるさ」と「気軽さ」と「スローペース」が大切だと思っています。
  • 疲れている、まじめ、責任感がある、時間がないという日本人の特性の中で、まずは、短い時間でかかわれる入り口があると参加・つながりへ深めていけると思いました

また、こうした意見に対して、付き合い方も同じでなくてもよく、「リスクや付き合い方に対して、どう自分の中で管理していくかが大事ではないか」とアドバイスもありました。

■マンションコミュニティについて

講座の終了後、千代田区在住で活動され、3/13開催の「ちよだコミュニティラボライブ!」にて、マンション・コミュニティのテーマで話し合う話題提供者の及川浩二朗さんから、参加者のみなさんのマンション・コミュニティに対する考えをお聞きする時間をいただけないかというご提案があり、ご希望の方からご意見を頂きました。

及川さんは、地域のコミュニティづくりの活動をされてきましたが、コロナの感染拡大などを経て、自分の住んでいるマンションの足元のコミュニティづくり大事だと思い、今回のテーマ提案に至ったそうです。

有事の際には、区役所の人も区役所にたどり着けないとしたら、公助は期待できないので、自助・共助でなんとかするしかないと思われたそうです。

*及川さんの問いかけページはこちら

https://chiyolab.jp/c0313/2a

その問いかけに対して、参加者の方から、マンションのコミュニティづくりについて思っていること、試してみたことなどが、多様な視点から挙げられました。

  • マンションでちょっとだけ協力し合えたら(例えば、ちょっと子どもを預け合うなど)、生活がすごく楽になるのにと思うことがある。雨にぬれずに協力し合える関係なので、一つ屋根の下、大家族的な付き合いができないかと思っている。
  • マンションコミュニティというと、防災となるが、住民の防災訓練への関心の低さは体感している。まずは、楽しきことや趣味からつながっていけないか。例えば、近所の有名な喫茶店に行って読書会しませんかなど。
  • マンションの理事として、アンケートを取って、独居の方のために何かできないか、コミュニティとしてやれることはないか等を検討したことがある。マンションの人達は、管理をお金で買っているところもあるので、何か一緒にやることの難しさは感じている。
  • 消防署にお願いすると、消火器の使い方や救急車の呼び方など、出前の講座をしてくれると聞いている。そうしたものを利用できるのかと考えている。
  • マンションでは利害関係があるので、コミュニティをつくるのにハードルを感じる。むしろ、マンションの外の方と関係を作る方が興味を持てる。
  • マンション住民同士では対面で話すことのハードルが高いように思っている。逆にオンラインでの会議などの方が、ちょっとのぞくみたいなことができるので、最初の一歩として参加しやすいのではと考えている。備蓄庫の状況を撮影し、オンライン中継などするのもよいかと思っている。

参加者の皆さんは、まだまだ話したいという様子でしたが、続きは、3/13のラボライブでということで、終了となりました。