千代田区コミュニティ探訪③〜コミュニティに開かれている認知症カフェー麹町きのこカフェ
きのこカフェには毎日、いろいろな人がやってきます。
地下鉄半蔵門線の半蔵門駅から徒歩0分という立地もあって、平日のランチタイムには、周辺のビジネスパーソンたちがランチを食べにやってきます。
きのこカフェが入っているのはジロール麹町というビルの1Fで、このビルは、高齢者のための、通所、ショートステイ、グループホーム、老人ホーム、居宅介護といった複合的な機能を担う多機能型高齢者福祉施設になっています。だからこの施設の利用者や家族の方たちもきのこカフェをよく利用しています。
そして、きのこカフェは、「認知症カフェ」としても場所を開放しています。認知症カフェとは、認知症の方や介護をしているご家族、そして認知症に関心のある地域の人たち、専門家などが気軽に集い、お茶を飲んだりしながら交流ができる場所です
千代田区内の認知症カフェhttps://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kenko/koresha/kenko/ninchishoshien/ninchishocafe.html
千代田区内では、いきいきはあとカフェ、連雀はあとカフェ、メモリーカフェ、などが認知症カフェとして、日時を決めて開催されていますが、きのこカフェは、ほぼ毎日オープンしている常設型の認知症カフェになっています。
このきのこカフェの運営を担当しているのが柴山さんです。多機能型高齢者福祉施設であるジロール麹町やきのこカフェの運営元である、社会福祉法人新生寿会のスタッフとして、カフェの店長をされています。
平日の15時半、ランチタイムのピークは終わり、学校帰りの子どもたちの姿もちらほらと窓の外には見え、半蔵門の町は夕暮れに向かって時間が流れはじめます。
店内にいるのは女性のお客さまがひとり。柴山さんとは顔なじみなのか、リラックスした雰囲気です。すこし耳を傾けてみると、戦争のこと、空襲のこと、その時分の学校の先生の思い出について、もう70年以上も前の風景や出来事はっきりとした記憶でお話されています。
その話にゆっくりと耳を傾ける柴山さん。普通の町のカフェには無い、でも高齢者向けのサービスでもない、あたたかい雰囲気が店内にはあふれています。
きのこカフェでは、様々なイベントも開催されています。認知症に関するものもあれば、地域向けのものもあります。店外スペースにも展開するマルシェイベントなどが開かれると、地域の人たちもカフェにも入りやすくなるようです。
秘書の経験があったそのお母さんは、柴山さんと相談して、きのこカフェの店内で、ママ向けのカフェとしてマナー講座や個人向けの講座を行ったそうです。地域に開かれたカフェで、グループホームのお年寄りから元気をもらった人が、また地域に新しい価値を提供していく、誰でもお互いに元気を与え合える存在になれる。きのこカフェは、それを体現している場であるとも言えます。
またある時、店に何度も来ていた入居者のご家族から「この場所で母の105歳の誕生日会をやりたい」 という相談がありました。柴山さんたちは「ぜひ!」ということで開催に協力。「”ここで何かをしたい”という方を応援したい」と柴山さんはおっしゃいます。
柴山さんのお人柄、立地の良さ、そして店の開かれた雰囲気もあって近隣の元気なシニア層からも人気のきのこカフェ。取材中にも、すぐ近くのマンションに住む一人暮らしの男性が来店。顔なじみのさきほどの女性と笑顔で話しています。こうした顔の見える関係がふつうにあることもコミュニティに愛される理由なのでしょう。芝山さんも「常連さんが2-3日来なかったら、やっぱり気になる」というくらい、コミュニティにしっかり根を張っています。
近隣に来たときはぜひ覗いてみてくださいね!