【レポート】ちよ活交流会「コミュニティキャリアを語ろう~社会、地域に自分を開いてみよう」
1/22に、ちよ活交流会「社会、地域に自分を開いてみよう」を開催しました。
会場は、半蔵門のあるまっぷ実行委員会のご協力により、株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクションの交流室をお借りしての開催となりました。
今回は、ちよ活交流会「コミュニティキャリアを語ろう」の第2弾。
専門を社会に活かすプロボノ、同じ境遇の人がつながる交流会、町に店を開くカフェなどの経験を聴き、自分の関心から始まる自分らしいコミュニティ活動を始め方を話し合うというのが目的です。
ゲストはビジネス法務の弁護士しながら、NPO支援などをされている木下さん、会社勤務しながら子を持つビジネスパーソン向けコミュニティを運営している平田さん、東神田のタオル会社3代目でタオル&カフェを運営されている鳥山さんの3人です。また、参加者の神田の稲荷湯の三代目の長谷川さんにもお話し頂きました。
木下さんは、千代田区にお住まいの弁護士さんです。専門の企業法務のスキルを活かし様々な団体を支援する活動をされています。もともとは、企業法務という弁護士の仕事の中で「人助けをする」といった実感が持てないと、NPOの企業契約の書類づくりのプロボノを始められたのが社会活動のきっかけです。
その後、東南アジアの女性のためのマイクロファイナンスの仕組みを立ち上げたり、東北の震災の支援のためのファンドの手伝いなどしながら活動を広げられてきました。活動が広がるにつれて、一人ではできないと若手の弁護士に声をかけると、みんな喜んで引き受けてくれたそうです。弁護士はもともと「人を助けたい」という気持ちがあり、プロボノなどの社会貢献をすることで「人助けをした」という実感が得られるのは木下さん以外の他の人も同じだと感じ、こうした弁護士の気持ちを公益活動に反映する仕組みをつくりたいと思われたそうです。また、ご自身もこうした活動を通じて「企業法務」という仕事が世の中に役立つことを実感されたそうです。その後は、SVP東京で多くのソーシャルベンチャーの立上げも支援されています。
こうしたプロボノ活動をされている背景には、弁護士は、一人前になるまでに多くの税金を使ってトレーニングの機会を得ているので、社会にそれを還元していかないという木下さんの思いもあります。これからは特に若手に、プロボノを通じて弁護士として感謝される体験を通じて、それを別の仕事の糧にできるようなにしたいとも考えています。
また、現在は、日本財団と一緒にソーシャルインパクトボンドの仕組みを日本に取り入れたり、プロボノ仲間が立ち上げた民間版の世界銀行、マイクロファイナンスの銀行の支援もされています。社会活動から得たネットワークや知見を通じて、新しい弁護士の活躍の場や仕事を作っていくのが今後の目標とのことです。
平田さんは、メディア関係のお仕事しながら2人のお子さんを育てている区民です。千代田区で子育てをしているビジネスパーソンのためのChiyoda Updateという活動をされています。
Chiyoda Updateの活動は、「VUCA時代」に向けて個の力をつけるためには、色々勉強したり、体験を積みたいと思っても子供がいるとなかなかできない状況だったので、だったら、そういう人同士で、先生を呼んで一緒に勉強をしたらいいのではという発想で始まったそうです。また、丁度、平田さんご自身が育休中だったこともあり、育休中に自分に視野を広げて色々な人と出会う機会にもしたいという思いもあったそうです。
また、子育てをしていると千代田区は子育てのサポートが手厚く恩恵を受けていると感じてらっしゃるそうで、また、色々とサポートしてくださる方々が口々に「自分も助けてもらったから、お返ししているだけですよ」とおっしゃっているのもすごく素敵だなと感じたそうです。そうした中で、自分も助けてもらっている分を、自分のできる範囲で恩返しをしたいという思いもあって、今の活動をされているそうです。
Chiyoda Updateでは、勉強会の他にも、一緒に皇居ランをしたり、スーパ―フードについて勉強したり、普段はできないような本格的な料理を一緒にするといったような居場所と学びの機会を提供しています。
対象は、ママに限定せずに「子育てをするビジネスパーソン」としているところがこだわりです。千代田区に住んでいる多様な人が、「仕事も子育ても充実できる」ことを目指しています。
鳥山さんは、東神田でタオルの卸業を営む日東タオルの3代目です。日東タオルはもともとは卸売り業ですが、鳥山さんは、サスティナブルをコンセプトとしたブランド「モラルテック」を立上げ、東神田にタオル&カフェも運営されています。カフェはよいタオルを触ったりしながら、お茶を飲んだり交流できたらいいなという思いから始められました。
常設のカフェとしてはもちろんのこと、鳥山さんはカフェを地域に開き、色々な活動もされています。
例えば、東神田のお店の若手やご近所さん交流会のための「東神田meet up」を開催されたり、まち歩きイベントに参画し、サンプルや在庫のタオルでつくった帽子を骨髄バンクへ寄付する活動をしたり、地元の若手の落語家の高座を開催したりしています。日本橋博のメンバーとして声もかかり、お手伝いなどもしています。
地域に根付いたお店が、新しいことに挑戦して情報発信をしていることで、色々と声がかかり、地域とつながっていっていると感じてらっしゃいます。また、お店があることで、色々な場所で知り合いになった人や、なじみの人が顔を出してくれて、その人との交流で自分が和んだり、ご自身としても今後地域のタオル屋さんとして5年後、10年後どうすべきか、どう地域とのつながっていけばいいのかを考えるきっかけにもなっているそうです。
長谷川さんは、神田にある銭湯の3代目です。長谷川さんの銭湯では、今の時代に合わせ皇居ランの人のサポートなども行っています。
長谷川さんご自身も、まだ学生ですが、これからの銭湯について色々と考えています。
銭湯は昔から公共の交流の場ではありますが、他の銭湯では、イベントを開催したりしているということを知り、ご自身も銭湯でワークショップができないかと考え、ムスリムとノンムスリムの人との交流を開催しました。脱衣所で食事を、浴室でプレゼンテーションとパネルディスカッションをお風呂のお水を抜いて実施されたそうです。宗教関連のイベントは嫌煙されがちだが、もともと、お風呂は情報交流の場所なので、足を運びやすい心理的安全性があったので開催できたのではと考えています。
福沢諭吉は、銭湯では入湯料を払った人は氏族であろうと平民であろうと平等であるといったそうで、長谷川さんは、銭湯にはそういった役割があると考えています。宗教や年齢の壁を越えられる場所としての可能性を活かしていきたいと考えています。
ゲストのお話を聞いた後は、感想やご自身のコミュニティキャリアについてなどグループで話し合いました。
また、参加者の方からは、
- 他業種の方とのお話はよい刺激になります。
- 住んで3年目だが、まだ地域のコミュニティに入っていけていないので、本日参加しました。自分の子どもにとってはここがふるさとになるので、繋がりを作りたいとは思うが、コミュニティに入っていけるチャンネルが難しいと思っています。
- 地域のお囃子などにも誘ってもらったが、仕事が忙しいと地域のコミュニティへの参加は難しいと思っていた。違うやり方でのコミュニティへの参加があるといいなと思っています。
- 新しくお住まいになっている方もコミュニティに入りたいと思っていることがわかった。色々な工夫をすることで、コミュニティ参加のきっかけをつくりたい。
といった声が聞かれました。