【レポート】基礎編4 子育てをシェアしよう シェアリング@千代田

千代田区は子育て支援の行政施策が充実していることで有名ですが、「行政施策の充実=子育てしやすいまち」とは限りません。基礎編4では、「子育てしやすいまち」を実現する上での「子育てシェア」について考えていきました。

ゲストは、子育てシェアサービスを立ち上げて運営しているAsMamaの甲田さんと、千代田区内で子育て支援コミュニティを運営するちよママの勝連さん、地域の親子をつなぐ教室を運営する就学準備教室りりーふの村上さんです。

共に、子育てをシェアする活動を自ら始められ、現在まで運営し続けている方々に、立ち上げのきっかけや現在までの活動内容を中心に、お話いただきました。

1.子育てシェアサービス「AsMama」について

子育てシェアサービスAsMamaは、ご自身の子育てしながら仕事をするのが難しいというご経験から、子育てしている人も仕事が出来るようにするために、子どもを安全に預ける仕組みを考えたのそもそもの発端です。

送迎・託児支援サービスは認可保育園やファミリーサポート、ネット系のシッターサービスなど数ありますが、AsMamaでは、当事者のニーズを考え、安心感が高く、フレキシブルであることが特徴となっています。

また、AsMamaの仕組みは、専門家が託児サービスを提供するというよりは、「ママサポーター」と呼ぶ、同じく子育て中の親が助けるというものです。しかも、基本的には近所の顔見知りの親にお願いするので、むしろサービスを受けるというよりは、お互いにコミュニティの中でサポートし合うというものです。

子育て中においては、30分以内に誰か頼れる人が数人でもいることが、安心感につながります。これを仕組み化しているのかAsMamaのシステムなのです。

個人では頼みづらいことも、仕組みを使ってお願いできる、また、保険も適用されるのでお互いに安心です。具体的な謝礼ルールも設定されており、預かる側も預ける側も気兼ねせずに利用することができます。サポートする方に対しては、託児やコミュニケーションについての研修も行い、サービスの質の担保も図っています。

コミュニティといっても、自分の周りに数名だけ知っていると大きな安心になるのではないかと、甲田さんはおっしゃいます。

また、AsMamaでは、共に助け合う「共助」のネットワーク拡大に向け、リアルの場とネットの仕組みを活用した取り組みも進めています。

地方自治体との連携も進めており、現在は全国1万人のママサポーターと100の自治体との連携を目指しています。今後は、子育てだけでなく、物の譲渡や生活支援、介護ケアにも広げられる可能性も検討しています。

千代田区でも、AsMamaの仕組みをうまく活用して、互助の仕組みをぜひ作ってもらいたいとのことです。

2.区内取組み実践者の紹介1 「都会での子育てを楽しむコミュニティ~ちよママ」

ちよママは、都会の子育てをお互いに楽しむためのコミュニティです。

ちよママの立上げも、勝連さんご自身の「子どもが生まれて今までとは生活が一変してしまった」という経験が最初のきっかけです。

子どもがいても「外食をしたい」「きちんと勉強したい」という思いも、仲間たちと一緒なら実現できるのではと、ママ友とネットワーキングをしていったのが始まりです。例えば、お店を貸し切れば子連れで素敵なランチもできますし、勉強のための講師を招くにもみんなでお願いすれば講師料を分け合うことができます。

千代田区は、待機児童対策や子どもへの福祉が手厚く知識や経験豊富なパパママが多いです。一方で、居住年数が短い世帯が多く地域の知り合いが少なかったり、気軽なつながりプラットフォームが存在していない問題があります。

こうした背景や特徴を踏まえ、都会ならではの課題を解決するため、ちよママは「子育てを楽しむ場所を提供すること」「より子育てしやすい環境をつくること」「素直な気持ちを言い合える友達をつくること」を目指し、活動をされています。

会員限定のFacebookグループには300ほどの登録があります。また、親子ピザ教室や音楽会、江戸巡りの会など多様なイベントを主催しています。最近では企業に対するコンサルティングや主催イベントの告知協力、アンケート調査なども行っています。

今後、目指されているのは行政とのつながりをつくり、親がいざという時に頼れる制度やサポート体制の認知を高めること。また、人とのつながりを増やし、幅広い層にリーチするイベントやちよママの運営アイデアを共につくっていきたいとのことです。

3.区内取組み実践者の紹介2 就学前のこどもを支援する「就学準備教室 りりーふ」

3人目のゲストは「就学準備教室りりーふ」・「千代田 ママのわ」の村上 沙織さんです。村上さんは、子育てをシェアすること地域の親子をつなぐことを目指して、2つの団体をはじめられました。

「就学準備教室りりーふ」では、就学を控えた子の保護者が抱える、新しい友だちができるか、学習についていけるか、などの不安を解消すべく活動をされています。

主な活動内容は、46歳の幼児と保護者に対する音楽・図工・体育的要素を取り入れた40分の授業体験教室や遊びです。地域の親子のつながりをつくるため、毎回、必ず大人も子どもも自己紹介することを大事にしています。また、40分の授業体験教室の中では「話の聞き方」「話の仕方」「してはいけないこと」の3つの約束を設定し、就学後も集団生活や学業規律に慣れることができるようにしています。

一方、「千代田 ママのわ」は、今年20182月にスタートしたばかりの団体です。

子育てが孤立化する社会課題を解決はママの子育てストレスに発散にあるのでは思い、子育て中のママ同士が和気あいあいと楽しめる場を設けたいとはじめられました。

現在までに「託児+ママクッキング」「親子クッキング」などのイベントを開催し、子育て中のママを応援し、リフレッシュの機会を提供しています。今は、料理のみですが、いずれはママの運動なども行っていきたいそうです。

4.その他の区内取組み実践者 「Kanda Baby&Kids」、ファミリーサポートセンター

昨年度のマンション・コミュニティ・ゼミ受講を経て、子育て支援の団体を始められた樋口さんより、「KANDA BABY & KIDS」についての紹介がありました。

KANDA BABY & KIDS」は、千代田区に住んでいる人だけでなく、在勤の区外の方も対象として、子育て情報の提供や子育て支援イベントの開催などをしています。昨年度のイベントでは、秋葉原周辺の子育てに便利な施設をリサーチしてまちあるきしたり、マップを作成したりしてきました。

その他、千代田区社会福祉協議会のファミリーサポートの紹介や支援会員の募集の案内がありました。

圧倒的な需給バランスの悪いという状況(支援会員が足りない)の中で、どのような仕組みがより子育て世代のためになるか日々考えている旨が話されました。

5.ワーク「千代田区での子育てをめぐる現状・課題を改善する方法を考えよう」

ワークでは、グループごとに、感想の共有とともに、「千代田区での子育てをめぐる現状・課題」「こんな風になれば!」「取り組みたい・参加したいシェア活動」について考えました。

同じような月齢で近くに住む人とつながるに当たって、なかなかいきなりつながっていくのは難しいですが、より良い体験をお子さんにさせたいというニーズはどの親御さんも高いようなので、まずは、それを子育て世帯がつながる一つのきっかけにできそうです。

また、在勤のママ・パパも多いので、在勤の人同士をつなげる仕組みも必要とされています。

参加者からも「千代田区のママは、みんな自立しているので、助け合いとか無理ではないかと思っていましたが、可能性があると思った」「千代田区の子育て世代同士では、より知り合えていないとお互いの遠慮があって、本音がわかりにくいことが多い。助けてあげたくても、迷惑かと二の足を踏むこともある。仕組みの中で、助け合えるよいのでは」といった感想も聞かれました。

今後、ちよだコミュニティラボとしても、子育て世帯の方々による子育てのシェアの仕組みづくり、コミュニティづくりなどをサポートしていきます。