【レポート】地縁の会「ご近所のつながり(地縁)のこれからを考えよう」

2024222日に、「ご近所のつながり(地縁)のこれからを考えよう」を開催しました。本イベントは、町会などの地縁コミュニティにおいて、きっかけづくり、IT活用、担い手づくりについて、新しい取組みや取り組んでいる人の考えを紹介し、これをヒントに510年先を見据えたこれからの「ご近所づきあい」について参加者の方々と一緒に考えることが目的です。在住、在勤など、地域活動や地縁コミュニティに関心のある21人の方の参加がありました。

第1部 活動紹介

1)「佐久間町 こども縁日」
神田佐久間町三丁目町会青少年部の石村大輔さんからは、佐久間町こども縁日の運営、こうしたイベントを通して町会活動に参加していただくための工夫の話がありました。

佐久間町 こども縁日紹介

<石村さんのお話>

「佐久間町 こども縁日」は、毎年夏に開催している多くの地元の人が参加するお祭です。神田佐久間町三丁目町会が、佐久二平河町会、神田佐久間町四丁目町会と共同して開催しています。

お祭に参加する人がこんなにたくさんいるのに、なぜ、町会活動に関わる人が少ないのか、これらの人たちにも町会活動にも関わってもらえないかと青年部では、考えています。町会行事には、比較的参加しやすいバーベキューなどのレクレーションと、準備が大変と参加ハードルが高い神田祭りや子ども縁日などの2種類の行事があるのではと考えています。まずは、参加しやすい行事を入り口に顔見知りになって、そこから少しづつ神田祭りや子ども縁日の運営に参加してもらえるようにしています。最近はバーベキューで連絡先を交換した人が、活動にも参加してくれるようになりました。

2)番町連合 ししまい・もちつき大会

四番町町会会長の鏑木耕三さんからは、番町連合 ししまい・もちつき大会の紹介がありました。子どもたちに昔ながらの体験をしてもらいながら、町会を身近に感じてもらえるようにと取り組まれているお話をして頂きました。

番町連合 ししまい・もちつき大会紹介

<鏑木さんのお話>
番町連合では、町会単独ではできないような大きなイベントやお祭りとして、日枝神社の山王祭、日本テレビ通り振興会の盆踊り大会、番町子供会、サンさん秋祭り、そして、1月に開催される「番町連合 ししまい・もちつき大会」を開催しています。
1月の「ししまい・餅つき大会」では、一番町から六番町までが参加して、ポップコーン、甘酒、豚汁などの出し物に加えて、獅子舞と餅つきの体験ができ、多くの家族連れなど、地元の人が参加します。昔は正月と言えば獅子舞と餅つきでした。ぜひ、現代の都会の子供たちにも経験してもらい、本物を味わってもらえたらと思って取り組んでいます。
一方、町会の課題は町会役員の高齢化です。高齢化によるIT化の遅れも気になっています。ししまい・おもちつき大会のような町のイベントを通して、町会を身近なものに感じて頂き、1人でも多くの方に、日頃の町会活動にもご参加いただけるようになればと思っています。

3)五軒町々会の「WEBサイト」「WEB回覧板」紹介

神田五軒町々会の小澤勝彦さんからは、町会活動におけるWEB活用やWEB回覧板と、その導入の理由やメリットなどをご紹介頂きました。

五軒町々会の「WEBサイト」
「WEB回覧板」紹介

<小澤さんのお話>

約三年前に、千代田区のデジタル化の助成金を活用し、ホームページの作成を始めました。
外部に広く発信するページと会員だけが見られるページに分けて運用しています。

情報のデジタル化によって、今までは、町内のお知らせは回覧板で、また、お祭りの写真の焼き増しは手作業で集計、イベントの申し込みは個人情報を専用用紙に記入をしていました。これらをホームページ上で管理できるようになり、省力化が図られました。回覧板がマンションなどには回しにくく、情報を届けにくいということにも対応できています。一方、町会員でパソコンに慣れてらっしゃらない方には、今まで通り紙でお伝えすることもしています。

また、お祭などに最初から関わるのはハードルがあると思うので、まずは参加しやすい町会行事から参加してもらいたいですが、そもそもどこでやっているかが伝わりにくいと感じています。ホームページは見に来た人しか情報が伝わらないというところもあるので、プッシュ型で通知がいくLINE公式の運用も検討中です。

4)町会の情報発信のSNS活用

東松下町々会の関真弓さんからは、町会の状況の変化に伴ってホームページを立ち上げたという経緯や、手探りで色々なメディアを活用して情報発信をしていることを紹介頂きました。

東松下町々会のSNS活用の紹介

<関さんのお話>
町会内に大きなマンションが建ち、その人たちにも町会活動に参加してもらえたらと考え、町会の楽しさや、町の歴史などを伝え、まずは町会活動に興味を持ってもらえるようにと始めたのが町会のホームページです。
情報発信だけでなく、参加しやすいイベントや1年生を迎える会なども開催しており、ラジオ体操なども復活させました。町会のSNSの活用は、コロナ禍でもできるイベントとして始めた写真コンテストの経費削減のために、インスタグラムやLINEを使ってみようというところから始めました。写真展以外にも、気軽にポスターの写真1枚で町会行事などのお知らせが載せられるということで、情報発信ツールとしても活用しています。
また、写真コンテストの写真を一気に見られるようにと始めたYouTubeも、青年部で面白がって、イベントの様子を撮影したショート動画を作成して投稿したりとして活用しています。実際に取組んでいるのは4050代の人でそんなにITが得意な訳ではなく手探りですが、機材を少しだけそろえるだけでできると思います。

5)「消防団の活動」

神田消防団第三分団副分団長の福地万太郎さん、団員の小野律子さんからは、消防団の活動内容や団員の方の思い、これからの消防団の活動について説明頂きました。

<福地さんのお話>

消防団の歴史は古く、約300年前に大岡越前守忠相の進言により、組織化された町火消として、いろは47組が設置されました。神田地域は”よ”組で、在籍数720人と最大でした。現在は消防組織法に規定されている行政組織の1つで、特別職の地方公務員であり都の条例で報酬も頂いていますが、ほとんどボランティアといえる状態です。

消防団の活動の中で最も大きな行事は、毎年6月に行われる消防操法大会です。決まった装置を使用して消防の技術とタイムを3つの分団で競います。そのために、4月から6月の3ヶ月間に週3回、働いた後に夜に集まって練習しています。他には、地域の防災訓練、イベントやお祭りの警備、救急救命講習なども担当しています。なかなかやる気がないと務まらない消防団活動ですが、町の防災、防火のためにみなさん頑張っています。一方、消防団でも高齢化、人員減が課題です。18歳以上の健康な方ならどなたでも参加できますので、ご関心ある方は最寄りの消防署にお問い合わせください。

<小野さんのお話>

地元との繋がりの作り方がわからないという声をよく聞いていました。私も定年を前に地域に参加したいと思っても、町会の入り方がわからず、先に消防団へ参加しました。消防団の方が消防署に問い合わせればいいという、入り口がわかりやすかったからです。その後、消防団のつながりから、町会の方を紹介してもらってネットワークが広がっていきました。最初、消防団が思い浮かんだのも、地域とつながりたいということに加え、何か地域のお役に立ちたいという気持ちもあったからです。今は、訓練などもまだまだ足りないとは思っていますが、地元での居場所ができたという安心感があり、これからも、地域の方たちとコミュニケーションを取れたらと思っています。

消防団の紹介の様子

6)町会イベントを外部と連携実施「神田錦町ご縁日」の運営」

つむぎやさん代表の星野諭さんは、以前より神田との関りも強く、色々とまちづくりや地域活性化のお手伝いをしてきました。ご自身でも、移動式遊び場の運営や参加型のまちづくり、イベントづくりを手掛けています。錦町ご縁日の開催に当たり、町会より企画運営の実働を任されて、多様な人の参画を促しながら開催していることについてお話を頂きました。

神田錦町ご縁日の紹介

<星野さんのお話>
神田錦町のご縁日は、地域の多くの人に参加してもらいたいと、9月末か10月の金曜日に毎年開催されているイベントです。町内でイベントを実施すると運営側の町会員がイベントを楽しめないのではないかという町会長さんの思いもあり、自分が企画運営をお手伝いしながら、また、多くの人の協力で開催しています。
地域のたくさんの企業には、協賛をいただくだけでなく、催し物も企画して参加してもらっています。
また、地域の高校生や大学生も企画に参加するなど、
図表 神田錦町ご縁日の紹介

町会だけでなく、企業もNPOも学生もと、多様な人たちが関わりながら企画運営しているのが特徴です。これまでの企画も大事にしつつも、新しい企画をみんなで考え、作っていくプロセスに時間をかけて、地域のつながりをつくっていければと考えています

第2部 ワールドカフェ

2部のワールドカフェでは、以下の3つをテーマとして取り上げました。第1部での活動紹介もヒントに、それぞれのテーマについて話し合いました(途中1回メンバーチェンジを実施)。

【対話のテーマ】
○ご近所でつながるきっかけは?
○ご近所づきあいの交流に、ITをもっと活用するには?
○ご近所を守る活動に関わるには? 広げるには?

ワールドカフェの様子

最後に、各テーマについて、

「ご近所でつながるきっかけは?」では、まちの中の色々な人の見える場所で、例えばバーベキューのような気軽なイベントを実施することが大事ではないか、そのまちの関係人口、町会の周辺の方々の関わり方をつくっていくことも大切ではないかという話、

「ご近所づきあいの交流に、ITをもっと活用するには?」では、ITの活用はあくまでも補完ツールであり、ご近所で声をかけるとかが大切であるといった話や、マンションの方に情報を届ける手段としてはITの活用が大事であること、

「ご近所を守る活動に関わるには? 広げるには?」では、関わりたいと思った人はインターネットなどで情報をみるだけでなく、実際に現場にいくことが大事でそこからきっかけができていくのではないか、消防団の活動やNPOの活動と、町会行事との連携など工夫ができるのでは

といった話がでたことが、共有され、会は終了となりました。

ワールドカフェの模造紙

2024年2月27日には、ご近所のつながり(地縁)のこれからを考えようのオンライン版も開催しました。そのレポートはこちらから
※参加者のご感想はこちらに記載しています。