【レポート】第4回 アーバニスト・ミーティング
2024年2月14日、第4回目となる「アーバニスト・ミーティング」を開催しました。
第1部は、東京大学大学院工学系研究科都市工学 教授の中島直人さんによる講演会「まちへの一歩が次の千代田をつくる!」を開催し、第2部では、ワークショップ「自分の次の一歩をデザインしよう・アーバニスト・ミーティング」を行いました。当日は、会場、オンラインを含め23人の参加がありました。
第1部 講演会「まちへの一歩が次の千代田をつくる!」
第1部では、中島先生から「都市計画の中で、都市や地域づくりを担っている人は専門家だけではなく都市に住み、都市生活を楽しんでいる人もおり、これらの人たちの地域のつながりのなかで街づくりのアイデアが生まれ、魅力的な街になっていく」というお話があり、その具体的な事例も紹介いただきました。また、アーバニストとしては、個人の思いを大切にしながらも、「都市や地域に対する謙虚な姿勢」「関係性を生み出す柔軟なリテラシー」「開かれた創造的な場所」を念頭に「共創」のまちづくり取り組むことの大切さもお話しいただきました。
■講演会の内容
■事例紹介
1)アーツ・アンド・スナック運動/オンサイト野外パフォーマンス「雁」
アーツ・アンド・スナック運動とは、上野不忍の周辺の街の活性化のため、空いてるスナックで芸術や文化について考える活動。そこから、東京芸大のアーティストが野外で演劇を行う活動「オンサイト野外パフォーマンス「雁」」が生まれた。趣味やそれぞれの人たちの思いを、どうやってうまくまちの課題に結び付けられるかと考えることで、まちづくりにつながった事例
2)池のほとりの本のみち
幹線道路が街と池を分断しているのでなんとか繋げたいとの思いから、車道の一部を使い、自由に本を交換できる本の道を作った事例
3)善福寺どんぐり・ピクニッククラブ
もっと公園を子供たちが楽しめる場所にしたいと、公園に対して多様な思いを持つ様々な人たちがどんな公園になったらよいか?を持ち寄るチームとして活動。色んな人の思いを聴きながら、毎月、それぞれ思いをテーマにして活動している。
■アーバニストとしてのふるまいとは
①都市や地域に対する謙虚な姿勢
都市・街に関心を持った時に、個人の想いを実現するだけでなく、都市には色々な資源や魅力があり多様な人や意見があるということを考え、公益性も考慮していく必要がある
②関係性を生み出す柔軟なリテラシー
自分だけではできないことを実現するために、自分の思いにこだわりつつ、柔軟に周りとコラボレーションしていく。どう周りとの関係性を生み出すかが大切である。
③開かれた創造的な場所
事例のように、共有するビジョンが大事であり、多様な思いをもつ人たちと共創していく姿勢を持つ。また、そのための集う場やそれぞれの思いを寄せる場所がある。
第2部 ワークショップ「自分の次の一歩を考える」
講演会でのお話の内容を踏まえて第2部では、活動の次の一歩のためのワークシートを活用し、各人の活動の現時点で必要なこと、問題点や未来へのイメージを共有し合いました。
【ワークショップでの意見】
- 千代田には経験豊富な方がいっぱいいるので特にシニアの経験を活かして講師として貢献してもらいたい。シニアにはさらにバージョンアップし次世代との関連をもってほしい。
- 千代田で働いているパパの両立で悩んでいる方が相談できる場がないのでコミュニティをつくりたい。悩んでいる人が自信をとりもどす場として悩んでいる人にも役立ちたい。
- 住んでいる人が安全に住みやすくなってほしいという思いで、町会で活動してきて、お祭りや色んな活動をしてきたが、これからの活動のコンテンツがない。マンションには新しい潜在的なスペックがある人がいるのでこれらの方の力を借りるには、それぞれの負担にならないようなつながり方を検討したい。
- 断捨離をしているが、ものがもったいない。地域でつながりながら、何か活かす機会はないか?
- 防犯パトロールの活動をしている。地域にあったプログラムの仕方を実践していて、町会長が熱心だとほっといても活性化している。謙虚な姿勢と共感してもらうためのコミュニケーションの仕方がないと、自分のやり方だけを押し通そうとする人もいるが、それだと続かない。
- ちよだラジオ体操は、人とのふれあいが多い。ゴミ拾いをしたりと、ただ体操するだけではなくてふれあいがあって楽しい。
- 平日の3時に集まる活動はメインプレーヤーは高齢化してしまう。活動時間を若い人に合せないと活動が広がっていかない。
- 地域の人と連携しようとするには、その地域のイベントに出て、人となりを知ってもらうところから始めた方が良い。
ちよだコミュニティラボライブに向けての意見交換
最後に、今日のワークショップで考えたことを実現するために、ラボライブにどう参加するのか、自分にとってどのような場になればよいかを考えました。
その中で、子ども食堂を実現するために、地域で活動している人の力を借りれないか、また、こうした地域の共通のアジェンダがあれば、連携や協力・マッチングがしやすいのではないかと言った意見があり、ラボライブのプログラムとして検討することとなりました。
まとめとして事務局の広石より「今日のディスカッションの皆さんの意見から、マッチングと聞くと難しそうに聞こるが、子供食堂など、具体的なお題があるとやりたい人が集まれると感じた。ラボライブでは、みなさんの中でもこういうことをしたいというのを出し合ってマッチングを実施することも可能ではないかと思ったので、プログラムを相談させてもらいたい。」
中島先生からは「一つ一つ魅力的な活動が千代田区にはたくさんあるので、これらがマッチングして、コラボしてくれると素敵な活動につながると思います」
とコメントがありました。
最後にコミュニティ総務課の千賀課長より、みなさんより熱心な議論をいただき、引き続きこういう活動や取組みをしてもらい千代田区の新たなコミュニティ活動をどうしていくか考えてもらいたいというコメントで終了となりました。
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参加者の声(ふりかえり・アンケートより)
【アンケートより】
■第1部の感想
- 中島先生の講義がとても参考になりました。①謙虚に②柔軟に意見を聞く③ビジョンを共有ということが、本当に大事なことだと理解できました。具体的な事例の紹介があってわかりやすかったです。
- まず、一歩踏み出すには、資金も必要だが、仲間の方が重要だと、気づかされた。
- 区内いろいろところで活動が有ることを改めて認識した
- 千代田は歴史・文化・産業・未来などが一体化している社会です。今回のラボで多様な団体とお会いできて、自分の小さな一歩でも化学反応のきっかけになれるかと実感しました。
- 千代田のことについて、こんなに考えている方がいらっしゃることも知りませんでした。また、活動されている方が多くいることにも驚きました。企業と住民がつながる場所を作ることも大切だと感じました。どう企業と協力できるのか、その具体案がまだ私には出てこない、とも感じました。
■第2部の感想
- 地域でどんなニーズがあるのか、どんなリソースがあるのか、もっと突き詰めて考えていく必要があると思いました。
- やはり、仲間集めが重要かと思いました。そして、自分の企画のブレが出ないよう、簡単な事業計画書を作り、何ができるか?進めていきたいと思いました。
- 多方面の情報を得て、協力できる事は積極的に進める。
- アーバニストであることと、NPO法人シニア大楽とは、決して相反することでは無い、と思っています。
コンサートを企画する場合は区民が見る掲示板、広報に掲載など、広く周知が必要かと思っています。とはいえ、具体的にどうしたら良いのか、区民への周知方法がわからないので、情報を集めることだと思いました。