【レポート】地域の扉を開いてみた! ~自分の思いから地域イベントを行ってみた私の経験(アーバニスト・ミーティング)
2023年9月27 日、 第2回アーバニスト・ミーティングを開催しました。会場とオンラインのハイブリッドで行い、会場、オンラインで21名の参加がありました。
アーバニストの皆さんのアクションを「個人の思いから始まる活動」と位置づけ、活動をスタートさせたお二人のお話をうかがい、その体験談を参考に、ご参加者の皆さんの次の活動へとつなげていくことを目的としています。
イントロダクション
冒頭、千賀行コミュニティ総務課長より、「23年夏千代田のまち活」サイトでの発信なども受け、今年の夏の活動などをシェアいただき、次につなげていただければというお話がありました。
続いて、自己紹介を兼ねて、千代田でやっていること、今年の夏のちよだの思い出を話しあい、場が一気に盛り上がりました。
活動体験紹介「地域の扉の開いてみた!~地域イベントを行ってみた私の経験」
本日のゲストの星田美沙さん(たいわ室千代田支部)と黛茜さん(「ちよだで丁寧な暮らしを話そう」主宰)から活動体験紹介をいただきました。
星田さんのお話の様子
黛さんのお話の様子
【星田さんのお話】
「たいわ室」という、小中学生向けにオンラインで30分間無料で対話ができる取組を進めています。コロナ禍で「雑談がしたい」という子どもたちのニーズがあり、スタートした全国的な取組です。私は立ち上げには関与していませんが、認定資格を持つコーチの一人として参画しています。
オンラインのサービスなのでどこからでも気軽に参加可能です。1対1が基本ですが、きょうだいや他の子も参加して1対3になることもあります。時には話を全くしないけれど、「誰かと一緒にいたい」と参加する子供さんもいます。
この活動を、もっと知ってもらいたいと思い、「千代田支部」を始めました。
子供たちは大人の様子をみていて、こんな些細なことを言ってよいのだろうか?と意外と考えています。「自分の考えをこんなに自由にしゃべれる場があってよかった」といってくれる子もたくさんいます。ただチラシだけだと、「オンラインで?」「知らない大人と話す?」と対話をすること、子どもと向き合うことの大切さ、意義が伝わりにくいと感じました。そこで、千代田支部は、「たいわ室」のサービスを知ってもらうこと、まずは体験してもらうことを目指し、スタートしました。
といっても最初は手探りで、「よいサービスだから!」という勢いだけで、何の資料も持たずに児童館に行って説明をしたこともあります。準備を重ねてスタートしたというよりは、「えいやっ」で開始した感じです。
あちこちを訪問していく中で「教育委員会から話をしてもらったほうがよい」、さらに教育委員会で「社会福祉協議会のボランティア団体登録したほうがよい」などアドバイスをいただき、結果、かがやきプラザ(千代田区社会福祉協議会)から助成金をいただくこともできました。
そうして令和3年12月に、区内の小中学校でチラシを配布し、児童館でたいわ室体験会を実施することができました。ただ最初は参加者は5人でしたし、その後も参加者キャンセルでイベントが実施できなかったこともあります。
それでも続けていくうちに徐々に参加者が増え、今年の夏は夏休み「自由研究ワークショップ」を開催し、26名もの参加がありました。自由研究ワークショップの傍らで、たいわ室も体験してもらっています。
最初、自分がやりたいことがぼんやりしていても、とにかく話すこと。そうすると、相手との話の中で、自分がやりたいことが言語化できる、あるいは言語化してもらえる瞬間があります。
そうしていると、たいわ室体験会は、2回目からは手伝ってくれる人も出てきました。
「準備は大変ですか」と聞かれることもありますが、「大変」と感じたことはないです。今年の夏の「自由研究ワークショップ」では、サイエンス教室、工作教室、プログラミング教室を行いましたが、内容は講師の方にお任せです。私自身は、事務作業が好きかもしれないと思いました。参加申し込みをまとめたり、細かいスケジューリング(何時にこの子が来る等)は、「大変」とは感じないタイプです。
ただもちろん小さな失敗はあります。夏は企業さんが、仕事をしている横のスペースを貸して下さったのですが、1回目は子どもたちが騒いでしてしまい、2回目は細かくスケジューリングして、うるさくならないように配慮するなど工夫しました。
運営の仲間づくりは、例えば工作のできる旧友と久しぶりに会って、たまたま講師をやっていたのでお願いしました。得意分野や副業を活かしたいと思っている人に声をかけています。
講師費用については、どのくらいなら引き受けてもらえるかという話し合いはかなりきちんとしたうえで、助成金を活用してお支払いしています。その際、工作の先生は、事務的なことを全部やってくれるなら引き受けるよと言ってくれて、自分の得意と相手の得意の組み合わせで進めている感じです。
ちなみに助成金については、令和2(2020)年にダメ元で申請したら、コロナ禍もあり「たいわ室千代田支部さんしか申請がありません」というラッキーもあり、いただくことができました。その後も毎年継続して活用させていただいています。
今後は定期的に固定化された場所で(対話カフェ)で継続していきたいという壮大な夢があります。ぜひ皆さんの力を貸していただければと思います。黛さんとコラボもしていきたいです。
たいわ室をやってみて、大人側が整えないと子供に影響を及ぼしてしまうと感じています。大人側がハッピーでいる事がとても大事です。
【黛さんのお話】
『丁寧な暮らし』というキーワードを入り口に、「自分が一番大切にしたいこと」「社会の問題を自分事にすること」を目指しています。
私自身の「丁寧な暮らし」のイメージは、「面倒くさい?古い?非効率的、時代錯誤、ミニマリスト(質素)」などで不安だったのですが、コロナ禍を経てインスタでは「丁寧な暮らし」がトレンドになっており、世間のイメージと自分の持っているイメージが違っていたことがわかりました。
「お金と時間に余裕がある人ができること」というコメントがついたりもしていますが、ちょっと前の不便な暮らしを、時間とお金をかけて得ようとしている、ともいえるかもしれません。非効率な時間の中にこそ、生きている実感がある、ということを伝えていきたいと思っています。
デザインの世界では、「非効率な時間の中に豊かさがある」と言われていて、丁寧な暮らしは「ゆたかさ」に行きつきます。
私は岩手県の出身で、岩手は春夏秋冬、特にいきなりやってくる春には圧倒されます。一方都市では、ひそやかに「あ、金木犀の香り」など、ビルの中でささやかな自然を感じることもゆたかさだと思います。千代田と言う都会で生きていく中で、日常的な豊かさを考えていきたいです。何気ない幸せを感じるために、五感を研ぎ澄まし、流れゆく時間に「しおり」を挟み、流れを少し止めることをご提案してみたいと考えています。
「丁寧な暮らし」を考えるワークショップは、1回90分で、6つのプログラムで実施しています。特に大事にしているのが、「テーマを絡めた自己紹介」です。誰もが肩書や役割を離れた素の自分のなかに、「語り伝える言葉」を持っていると感じています。
メイントークについては、1回目は私自身が全部しゃべりましたが、これでは継続ができないと感じました。そのとき、「自分の身体を知ることが丁寧な暮らしをすることではないですか」と言ってくれた人がいて、その人に2回目はゲストとして「触れるということの大切さ」をお話いただきました。
そして一番大切にしているのが、「答えのない問いを考える」ことです。いきなり問われても答えられませんが、自己紹介から始めてワークショップを進めてくると、皆さんから素敵な言葉が出てきます。丁寧な暮らしの90分のワークショップパッケージの中で、そういう想いを伝える場を20分くらい組み込むことで、発信の場ができるのではと考えています。
この問いを考えるのは時間がかかります。ヒントになりそうな場所に行ってみたりと試行錯誤を繰り返します。実は第2回は、はじめは「和時計(針ではなく文字盤が回る)」をテーマに考えていました。けれど、調べていくうちに針が回る和時計もあることを知り、テーマを変えました。「問い」は考えに考えてつくりますが、その時間が楽しいです。
答えがあるものは、話しているうちに批判が出てきてしまったりしますが、答えがない問いには、間違いはないので批判も反論もありません。そんな前提のワークショップをしていきたいと考えています。
このワークショップを企画した最初の問題意識は、働きながら子育てをしている周りのママたちを見て「何もかもが早すぎる。誰かが止めないと」と思ったこと。経済的なことを考えたら仕事を辞めるのは難しいけれど、都市で暮らしているから丁寧な暮らしを手放すのはおかしい。地方に移住しなくても都会の日常の中で、ゆたかな時間を持てるのではと考えたことが出発点です。
そんなとき、2022年に「千代田をつなげる女性30人会議」に第1期生として参加して、身近な地域の課題が他人事だったと思いました。私たちでできることはないか、考えるきっかけをもったときに、はじめて自分事になるのではと考えました。
また、また、PTA役員をしていたことがあるのですが、PTAの方々の能力が高すぎて、株式会社PTAをつくったらすごいかも(笑)と思ったこともきっかけのひとつです。家庭や職場以外の活躍の場、スポットライトが当たるような場をつくれないだろうかと考えました。
最初から「丁寧な暮らし」というテーマが出てきたわけでもなく、いろいろな方と「ああでもない、こうでもない」と話していく中で、自分の中の問題意識が1本の線になってつながった感じです。
私は考えてからでないと動き出せないタイプなので、これなら大丈夫と思ってから始めました。
それでも、2回目参加者が集まらなかったとき、仕事でもないので、“やめた”と投げ出してもよいような局面もありました。けれど、「なぜ私はこのワークショップがやりたいの?」と考えたとき、「豊かな時間を一人でも多くの人に過ごしてもらいたい。参加者が一人でもいいじゃないか」と思うに至りました。「自分がしたいからやっている」。自分の原点がここにあり、それが継続の力になっています。また、一緒にやってくれる仲間にも恵まれ、支えてもらっています。
進めていくうえで、会場はひとつの課題です。千代田区で場所を借りるのはお金がかかります。第1回はちよだコミュニティラボの支援で開催しましたが、第2回はゲストの方のマンションのフリースペースを使わせていただきました。
今、第3回に向けて準備を進めていて、ゲストには大学で日本語を教えている方をお願いする予定です。ぜひご参加、応援下さい。
星田さん、黛さんを囲んで質問及び感想共有
星田さん、黛さんを囲んで、質問をしたり、感想を共有しました。お二人の話をヒントに、これからの活動に活かせることを考えていきました。
<星田さんを囲んで>
- 「千代田をつなげる女性30人の会」に参加して、何かしたいと考えていた。子供だけでなく大人も独りぼっちになってる人もいる。大人も人とつながりたい人は多い。お2人のこうしたい!という話に刺激を受けた。勢いが大事。自身も活動を企画していきたい。
- 子供の居場所に関心がある。千代田区ではないが、ボランティアで団地の子どもたちと一緒に遊んだりしている。楽しんでマイペースでやっていくなかに、まちづくりがあると感じた。
- 星田さんの活動にすごく興味がある。青少年とかかわっていきたいと考えており、子どもの見守り方についてもっと知りたい。
- NPOやボランティアを長年行うなかで、資金繰りが難しかった。義務感だとボランティアは続かない。子どもたちに対して何を残してあげられるか?を考えていきたい。
<黛さんを囲んで>
- メール等で色々なお知らせをもらうが、自分が処理できることは限りがあるので遮断している。そういうのも丁寧な暮らしかとも思ったし、健康にはすごく気を付けている。健康であり自分をコントロールできる状態もある意味丁寧な暮らしではないかと思った。この歳になると丁寧にしか暮らせない。
- 丁寧な暮らしというと、お話にもあったように、五感を大切にすることだと思う。
- 最初「丁寧な暮らし」というと、すごく意識高い系の人が自分の暮らしをPRしているようなものかと思っていたが、「丁寧な暮らし」を哲学的に深めていくというのにすごく共感した。自分も別の場所で、対話の場をしているがあらためて地道に続けていこうと勇気をもらった。
- 同じく、少し意識高い人の会という印象はもっていたが全然ちがった。自分も対話の場をしたいと思っていたのですごく参考になった。どうやったら始められるのか知りたい。
(黛さんより)とにかく動いてみることが一番。動いてみる中で、色々な道が見えてきて、それを選択してこっちでもない、あっちでもないとしていると、だんだんやりたいことなどが研ぎ澄まされてきている。また、自分でテーマの深掘りはたくさんしている。色々な本を読んだり、読んでいいなと思ったことを忘れてしまうこともあるので、メモをしている。 - これで実施できると確信したタイミングはありますか。
(黛さんより)自分は事務とか、グーグルフォームとか苦手なこともあるが、それをサポートしてくれる方おり、なんとかなるのではと思った。
学びのシェア
最後に、お二人のお話から学んだこと、自分の活動に活かしたいと思ったことをグループに分かれてシェアし、会は終了となりました。
【学びのシェアから出てきた声】
- 千代田で万華鏡教室をやりたいと考えており、近々麹町で開催を予定している。ゆくゆくは学校の中でできるようにしていきたい。今回のお話では、勢いと、やりたいことを言い続けることが大事と思った。万華鏡づくりは材料費なども必要だが、今日のご参加者から、「材料費だけもらうのも、ボランティア」とアドバイスをもらった。
- まちづくりは主催者が楽しむこと、マイペースで続けていくことが大事だという学びがあった。
- 自分はじっくり考えるタイプだが、星田さんのお話を聞いて、何も考えずに、やってみるのも大事で、そこからご縁もつながっていくと思った。
- 黛さんのお話で、答えがない問いというのは否定がないこと、というのが学びになった。ボーイスカウトをやっており、お仲間募集中している。
- 歴史、健康というのを「丁寧な暮らし」のテーマとして提案させてもらった。
- 女性30人会議の参加者の取材をしている。団体立ち上げのプロセス、継続していくことの話に勇気づけられた。黛さんもぜひ取材させていただきたいと思った。
- 対話の場を企画しているが、社会的な意義や課題を考える前に、自分のやりたいことをやることが大事と思った。それが活動の動機になる。自分の思いを大事にした方が長くつづけられると思った。
- 星田さんは考えていないとおっしゃるが、すごく考えていると思う。まずは「会う」ことで、お互いの熱量なども伝わるし、お互いに接点をみつけられる。熱量を込めて説明するというのも大切だと思った。星田さんのように明るいことも大切で、活動を「楽しむ」ことがいいと思う。
- お二人と年も近く、共感することがたくさんあった。千代田で活動する中で、最近は経理を担当している。自分も裏方的なことが向いているかも?という発見があった。
<参加者の声>
- 楽しんでやること、動いてみること、いろいろなまちづくりの活動が重なり合って魅力や効果が出てくるのだなと認識しました。
- 悩んだり、心が折れそうになったりするときに、おなじアーバニストとしてこういう交流の場があることで救われるのではないでしょうか。
- まずは、失敗してもいいから、とにかくやってみる。これを大切にしたいと思った。 自分は、物事を考えすぎて、行動できないということが多いので、勢いでやってみるのも一つの方法だと思った。そこから繋がる縁もあると思うので。
- 登壇したお二人にパワーをいただきました。(オンライン参加だったので)リアル参加で会場の方と情報交換したかったです。
- 千代田区には多彩な方がおられること改めて感じました。
- 「動きたい人」「活動する人」はたくさんいるんだと感じました。こんな素敵な人がたくさんいるときっと世の中はよくなると思います。
- 星田、黛ご両氏の思いと行動力に多いい感じ入りました。
- お二方のお話がとても興味深く、また学ぶことが多かったです。
- 実際に活動をされている方の体験談をきけるのがは自分でやりたいと思うことのヒントと優位をもらえると思いました。
- 人とのつながりっていうのがやはり大切だと思いました。一人ではできないことも多いので、仲間づくりが大切だと気付きました。