【レポート】ちよだコミュニティラボライブ2023!~私と千代田のストーリーをシェアしよう

2023年3月11日(土)に「ちよだコミュニティラボライブ2023」に千代田区役所で開催されました。4年ぶりの会場開催となり、当日は、在住・在勤・在学・地域で活動をしている方など、74人の参加がありました。今年のテーマは「私と千代田のストーリーをシェアしよう!」です。千代田にはたくさんの思いを持つ人がいて、まちを楽しんでいます。その人たちの話を聴き、千代田に感じる可能性を発見し、協力や連携につなげるのが目的です。

1.イントロダクション

冒頭、樋口区長より、「会場の展示を見て、色々な思いを持った方がいらっしゃり多様だと改めて感じました。ここ数年で千代田区は人口が急上昇しており、直近の統計では6万8千人になりました。また、昼間人口は100万人以上と言われていますが、コロナ禍の行動制限やオンラインの普及で千代田区に来なくなったという状況もあり、これで千代田区成り立つのかと考えさせられました。千代田区にはいろんなコミュニティがありますが、今日のように、皆さんが顔を合わせて問題意識を持ち寄り、それぞれのコミュニティが歩み寄って、新しいつながりを作り、「コミュニティ」「地縁」「まちの賑わい」「子育て」などのテーマについて率直に話し合っていただけければと思っています」と挨拶がありました。

今回のラボライブのテーマである「私と千代田のストーリー」紹介は、事前にそれぞれの方に準備いただいた「自己紹介シート」を提示しながら5つの質問に答えていくことにより、ストーリーを紹介し合うという方法です。今回、「ストーリーを紹介」に着目したのは、
・ コロナ禍で活動や行事の多くが止まって本格的に活動を再開するにあたって、再度お互いを知り合うということが大切であること
・ ストーリーを共有することで、共感を広げ、今後の新しいつながりや、連携を生み出しやすくなる
といった狙いによるものです。

イントロダクションでは、これから行う交流会のイメージを皆さんに知って頂くため、「私と千代田のストーリー紹介トーク」をテーマに、内神田鎌倉町会の斎藤会長と司会の広石とでデモンストレーションを行いました。

斎藤会長からは、
「千代田で、内神田鎌倉町会の会長や民生委員をやっています。きっかけと言われても、神田で70数年住、生まれたときから、気づいた時から千代田区に関わっていたと言えます。町会活動を続けている理由は、若い人たちに歴史のある町会に入ってもらい引き継いでいくことが大切であり、大手町に近い地域であることもあり法人も多いので、法人の方にも会員にも入ってもらって住民と会社の一体化を図ることが大事であると思っているからです。また、町会運営において、みんなで一緒に意見交換していくプロセスが大事だと思っています。大変なことは、特に、神田祭りの苦労は資金集めです。うちの町会の神輿は二尺五寸で一千万の予算が要ります。ご寄付を集めてやっていく必要があります。日ごろからできるだけ町会員になっていただいて町会の活動を理解していただく努力をしています。これからやりたいことは、江戸最古町を若い人たちに受け継いでいくことです。若い人たちにいかに町会に入っていただくかを考えています。将来は、マンションに住んでいる子供たちが町会長になるかもしれなればと思っています。」
といったストーリー紹介がありました。

また、日ごろのコミュニケーションがあるから活動を理解してもらえるとお考えで、また、情報の共有による活動への理解も大切だと思っており、「内神田鎌倉町会」のHPを運営したり、町会報も配布し、情報発信、情報共有をしていること、また、そのおかげで自ら入会したいと言ってくれる人もでてきたといったお話もありました。

2.私と千代田のストーリーを紹介し合おう

自己紹介交流会では、グループに分かれて、それぞれの「私と千代田のストーリー」を紹介し合いました。2セット行い、1セット目と2セット目では席替えを行い、できるだけ多くの方とストーリー共有ができるようにしました。
ストーリーを共有しながら、「それならこれをやってみたら」「こんなアイデアもあるよ」など、どんどんと会話が発展したり、また、全員が共通して持っている課題、例えば防災などについても意見が出され、交流が深まっていきました。
ストーリー紹介後には「こんな方法で話すと話が広がるんだね」と楽しそうに語る方もいらっしゃいました。また、どの人の話も興味深くみなさん聞いてらっしゃり、多様な背景を持った人のお話をすることで、新しい発見や出会いにつながったようでした。

代々千代田区に住んでいます。町内会の資金集め、活動の見える化、エリアマネジメント的なことをやっています。特に力を入れているのが、神田カレーグランプリで、自らイベントに参加しており、2014年から始まったスタンプラリーは皆勤賞です。加盟店は125店舗。6000人くらいマイスター(=皆勤賞)がいます。制覇したという満足感だけでなく、食べ歩くことで街に詳しくなり、千代田区を知ることができるし、マイスター同士で話をするのが楽しいです。

東京家政学院大学で教えています。参加のきっかけは、特徴のある教育をするために、他大学との共同研究、連携により大学資源を地域に生かすことが必要と考えたためです。忙しい中でも毎月19時からオンライン会議をするなどして工夫しています。最近では学生と職員が協力して帰宅困難者支援施設運営ゲーム(KUG)をやりながら帰宅困難者支援訓練をしたり、各大学の避難所で必要な情報や備蓄品を調べたりしました。

千代田学習生涯カレッジ、千代田区の人材バンクに登録していて、本業はエスコートダンスを教えています。千代田区に事務所を置いたのがきっかけで参加しました。競い合うのではなく、“はじめまして”でもできる楽しいダンスとしてエスコートダンスを広めたいです。ダンスでは相手から大切にされるので、みんな気持ちが華やぎます。将来は演奏や作曲が得意な人たちで協力して、ラジオ体操の後にでもできるような“ちよダンス”を作りたいです。

神田の今川中学校の卒業生で、同級生の繋がりで鍛冶町二丁目町会に入っています。祭りが大好きで5月の神田祭には太鼓をたたく予定です。しばらく練習していなかったこと、楽譜が独特なことから、リハビリが大変でした。神田ブランドはすごいと思うし、粋な人がいっぱいいて面白い。しかし、新しい住民の中には祭りの賑わいを騒音だと感じる人もいて、対応が難しいです。私たちの活動には文化の継承という側面があることを知ってもらったり、子どもの参加などで理解を促したい。夢は伝統ある町会の神輿とともにパリ(オリンピック)へいくこと。武道館デビューなど。近々、国際イベントに招かれるかもしれません。

3.トークセッション及び交流対話

ゲストトーク「個人の思いから始まるまちづくり~アーバニスト×千代田の可能性~」

中島直人さん(東京大学准教授、一般社団法人アーバニスト理事)より、アーバニストと千代田の可能性についてのお話がありました。
中島先生が審査員をしていた「まちづくりサポート事業(まちさぽ)」は、グループや団体での応募という規定があり、個人で始められなかったり、“まちづくり”は大げさだと思う人がいたりと、活動したい人と実際の制度との間にギャップがあるのではと感じてらっしゃったそうです。また、助成金をもらうと成果を求められるなど、気軽に始められないなどハードルもあると感じられていたそうです。
一方、まちに関心があり、気軽にまちに関わりたい人、徐々に仲間を増やしたい人、自分の興味から始めたい人、個人の思いから活動したい人、そういった人たちをアメリカやイギリスなどでは「アーバニスト」と呼んでおり、職業ではなく活動者の呼び名となっているとのこと。先生は「都市の環境というのを享受したり、堪能しつつ、その環境の保全や創造に能動的に働きかけていく人」をアーバニストと定義しており、先生ご自身、千代田にはそういう人たちがたくさんいると思っています。
都市が成熟しているフェーズにある時、アーバニストや社会起業家が必要であり、これは、これまでは、まちづくりは、都市計画の専門家が都市の問題と考え解くと考えられてきたが、これからの時代は「自らで作る」というマインドがこれからの成熟した社会に必要だと考えるからだそうです。
また、“アーバニストとは何か”と位置付けるときには、どういう社会と結びついているかというのが大事になるとのことです。例えば、消費社会はモノを所有していることが大事でしたが、これからの時代はどれだけ自分が作れているかが自分の幸せと直結していくと考えられ、創造社会の実践でり、自分で自分の暮らしを作っているような、そういう担い手のことがアーバニストとといえるのではとのことです。

なぜ千代田にはこのようなアーバニストがいるのかというと、千代田の多様性によるところが大きいとお考えとのことです。近年、千代田区は人口が増えており、古い人と新しい人が共存しています。もともと単身世帯が多いですが、この5年の変化を見ると、ファミリー層が増えて暮らしが多様になってきています。また、千代田区は人の出入りが多いのが特徴で、2020年には、一年間で8000人が転入、7000人が転出しています。加えて、昼間人口が夜間人口の10倍以上もあり、古くからの小さい会社、大企業、スタートアップおあります。さらに、大学、専門学校などの教育機関も多く、外国人も在住しており国際色もあります。
東京の中心にあって、いろんな人の出入りがあり、多様性がありそれが都市の財産であり、個々の多様な思いが生み出す創造性とそれらを認め合う寛容性がある。それがアーバニストを生み出す土壌となり、千代田区の可能性ではないかというお話で、締めくくられました。

対話「千代田での活動の可能性を語ろう」

前半のストーリー紹介の交流会や中島先生のお話から、それぞれが感じる「千代田での活動の可能性、アーバニストを広げるには?」について、各グループで対話を行いました。先生のお話にもあった「多様性」を実感した、社会資源の多さを活かすべき、横連携が必要、などを言及する意見が多くみられました。

【対話の中の意見(一部抜粋)】

  •  “個”でつながる。やりたいことをするきっかけが大切!
  • 土の人と風の人それぞれの良さを生かす!!伝統も変化も両方ある街はやっぱり魅力的
  • つながる。続くための魅力と多様性。飛び込んでみること。受け入れること、掘り起こすこと。合理性より時間をかけること。必要なまわり道。
  • 志が高い方が多い。今回の集いはとても良いとおもいます。横をつなげ、互いに応援し合うことで大きくしていければ良いと思う
  • 行動すれば、多くの人に出会え、楽しみ、充実した時間が過ごせる
  • 在住者のみならず在勤在学者とのコラボがしやすい環境
  • お互いが応援しあったらいいと思う。
  • 多様性で学ぶことが多く、やる気につながる

3.クロージング

クロージングセッションでは、3名の方からふりかえりや感想をお話頂きました。

本日、初めて参加してみて、びっくりしました。こんなにたくさんのそれぞれの違うことをやっている人と一同に会するというのは貴重な機会だと思うので、またこういう機会があれば参加したい

やはり千代田区は面白いと思いました。ワクワクして楽しかった。今日のお話で千代田区に住む人がもっと増えるといいなと思いましたが、本当に増え続けていいのかという意見を聞いて新たな視点を頂きました。これだけ思いを持った人が一同に会して、ここに行くとこういう人に会えるというのがいいですし、これをきっかけに活性化していくといいなと思います。

千代田区3代目の住人です。うちの家系は大正14年から住み着いています。今日は千代田区の特徴をデータで見てびっくりしました。でも、旧住民もそもそもスタートアップ企業でしたし、江戸時代に地方から来た人の集まりです。寛容に情報公開をして様々な人を受け入れたいと思いました。寛容の受け入れが革新へつながりその継続が伝統となると思います

最後に、コミュニティ総務課の小玉課長から「今回は6回目、4年ぶりの開催で、7440を超える団体に参加していただきました。これは千代田区にとっての大きな財産といえ、みなさんの活動の環境の調整をしていくことが大切だと考えております。町会活動は伝統の継承であるという話がありました。神田祭もあります。文化的遺産も多く持っています。千代田区ならではの伝統と文化に関わるチャンスがあるということですので、ぜひ誇りに思っていただきたい。そして主体的に活動に参加していただきたい。千代田区にとって大きな力になると思っています。個人の思いから始まるまちづくり、多様性と包摂の理念をもって、さまざまな活動をされる皆さんが持続可能な活動を、ぜひ千代田のまちを盛り上げていってもらえれば」という総括で、終了となりました。

参加者の声

○気づき・感想、感じた千代田の可能性

  • 新たな発見や気付きがたくさんありました。多様な活動や仕事、町会などを知れて千代田区に貢献できることがたくさんあると感じました
  • 千代田区というコミュニティの適度な広さと歴史的・機能的集積がもたらすほどほどの見通しの良さと想像力の喚起。
  • 様々な立場や年齢の方々が千代田区に関してもっと良くしたい!と考えていることがわかり、たくさんの可能性を感じました。
  • 多様性を受け入れる、違って当たり前を、再認識しました
  • 沢山の方が参加されて千代田の魅力を再発見したような感覚がありました。皆さんの話している顔がとても地域愛が溢れていて、コロナが収束しつつある今後のイベントにワクワクしています。

○これから千代田で行いたいこと、始めたいこと

  • 防災に関するボランティア団体を始めてみて分かったのは、防災は同じ関心と課題を持った人たちが集まりやすいテーマであること。継続性や繋がりが強くなる予感がします
  • 制度を使えないけど支援が必要な人に届く活動
  •  地元の声を届けて安心して暮らせる街にしたい。その為に何ができるか模索中です
  • 無料IT教室、町会をつなぐwebコミュニティなど、ITの力で何か活動を行いたいです
  •  大学として小さなことからでも、千代田を活性化させるために連携をしていきたい
  •  在勤で地域の推進を図る団体に所属しておりますが、人と人とをつなぎ、温かい町づくりの一助になれればと思います。また、地域課題に対してニーズ把握と実態調査、解決に向けて地域の方と一緒に取り組んでいきたいです

〇その他

  • 区内で活動する方の取組みや課題について、少しの方からではありますが直接お話を聞くことができた貴重な機会でした
  • 生涯学習館の様な、団体や個人が集まれる場所があり、そこへ行けばいつでも情報交換出来る場所があるといいのではないか