【レポート】 地域対話 地域でのデジタル活用のリアルを知ろう!
2022年9月20日に、地域対話「地域でのデジタル活用のリアルを知ろう!」を開催しました。昼の会、夜の会を合わせ、20人の参加がありました。
まずは、竹上さんより、三鷹市井の頭一丁目町会での取組みについてのお話がありました。
竹上さんは、「 安全安心な町」「 いつまでも住み続けたくなる町」「 やりたい人を応援する町」を目的に、若い人たちの意見などを取り入れながら、色々な新しい取り組みにチャレンジされています。
これらの取り組みの発端となっているのが、14年前に始めた世代を超えた交流の場「みんなのブックカフェ」です。その後も、三鷹市のがんばる地域応援プロジェクト、東京都地域の底力再生事業(現在、東京都地域の底力発展事業)、東京都のプロボノプロジェクトなどの外部の助成金やサポートを活用しながら、また、若い人のアイデアや力を借りたり、地域の他の機関や大学のサービスラーニング(地域活動に参加)の学生の力を借りながら、様々な取り組みしています。
次々と新しいチャレンジができるのは、地域の若い人の「やりたい」を実現できるように一緒に取り組んでいるということもあります。企画運営を一緒にすることを通じて、多世代交流につながったり、顔の見える関係がつくれるようになってきています。
また、こうした取り組みの運営を円滑に進めるために、LINEを活用しています。運営に関わる人への連絡はLINEグループで、参加した人への連絡にはLINE公式といったように使い分けています。LINE公式への登録はQRコードを町会便りなどに掲載したりしながら広げています。
さらに、孤立を防ぐためにも高齢者こそオンラインとの思いから、新型コロナウイルスが感染拡大し始めた直後から、スマホの教室、Zoomの使い方教室に取り組んでいらっしゃいます。また、高齢者の人が習ったオンラインを使い続けられるようにするために、Zoomでおしゃべり会や、各種の講座などZoomを使うチャンスを提供しています。また、町内の取組みだけでなく、大学等の外部のオンライン講座なども紹介し、オンラインを使う機会を提供しています。さらに、町会内だけでなく地区全体での取組みとして「井の頭おさらい会」も実施されているそうです。町内と地区全体の取組みで、毎週何らかの形でオンラインでつながる時間を設けることを続けていらっしゃいます。
スマホ教室はすぐに定員が埋まりニーズはあると感じてらっしゃるそうで、また、参加している高齢者の方は、楽しんでお使いになっているそうです。竹上さんは、オンライン利用を広げるポイントは、なによりも「楽しい」と思うことが一番であると考えています。
また、一方で、地域でスマホが使える人と使えない人では、情報入手やつながりにおいて、差がついてしまうことが課題と感じていらっしゃいます。そのため、とにかくスマホを使える人を増やすため、地域での週に1回の「スマホ・タブレット・パソコン相談会」や、町内で教え合う仕組みづくりもしたいと指導者養成にも取り組んでいます。特に、指導者養成については、「地域デビュー」のきっかけにしませんかと声がけをしているそうです。こうした取り組みを進め、将来的には町会のオンライン化も進め、町会活動のスリム化、災害時の安否確認の強化、シニアの生きがいづくり等を進めていきたいともお考えです。
竹上さんのお話の後は、竹上さんと参加者の皆さんとの意見交換を行いました。これらの意見交換より、いくつかの地域でのデジタル活用や地域に多くの人の参画を促すポイントが明らかとなってきました。
高齢者の方へのデジタルやオンラインの利用を進めるポイント
- 身近なサポート体制を整える
例)スマホ教室や相談会など定期的に開催、スマホ指導者養成など教え合う仕組みづくり - 継続的にオンラインを使う機会を提供(オンライン交流会、オンライン講座等)
- 大事なことはとにかく「楽しい」と思ってもらうこと。一つでも新しいことができるように工夫することも、楽しさにつながる。
地域の大学などの地域の協力を得るには?
- 地域の大学のサポートの仕組み(ボランティアセンターやボランティアサークル)を活用
- 町会の活動を見える化して情報発信をしておく。何をしている町会かがわかると、コラボや協力の声をかけてもらえる。
新しい参加者・参画者を増やすには
- 「顔見知りに」になる機会を増やす
例)気楽に参加ができて、出入り自由な場の提供 - 地域の人のやりたいことを受け止め、応援する
- 人材発掘のアンテナを立てる。何かイベントをやり続けると、その参加者の中で、その分野で得意な人がでてくる可能性が高い。
- 役割を明確にした参画のチャンスの声をかける。
参加者の方からも、LINE教室を法政大学の学生さんの力を借りて町会独自で実施していること、町会内のLINE活用についての工夫、婦人部で声をかけ合ってスマホの使い方を勉強していること、企業の力を借りて町会のYouTube配信をしていることなど、それぞれの取組みについての情報交換もありました。また、こうした意見交換や実例を知ることが有益であるとの声もあり、今後も取り組んでいくことが期待されます。
現実的に、通常の町会行事などが忙しい中、スマホ教室など教え合う仕組みづくりに着手するのが難しく、地区全体で取り組むなどの工夫が必要ではないかと言った意見もありました。
ちよだコミュニティラボでは、今回の気づきや参加者の方のご意見を基に「デジタル活用」をきっかけとした新しい人の参画を促すための取り組み等を進めていきます。
【参加者の声】
<ご感想>
- 継続をしていくというのが大事だと思った。何回もやらないと前に進めないと思う。
- 自分が地域でやりたいことの先に行っている取り組みをお伺いし、背中を押してもらえた気持ちになった。
- 参加されている皆さまそれぞれのご苦労に、共感を覚え、大変参考になりました。多くの方との連携の必要性を、認識いたしました。
- 他の町会の取り組みがどうなのか、意見交換したい。
- 井の頭町会の積極性に驚くと共に、地域の方のやりたい事をお手伝いする町会というのはなるほどいい案かと思った。
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<今後に向けて>
- 地域のマンパワーが不足している。
- 町会の中に簡単なデジタルインストラクターを育成する助成があれば。
- 定期的に講師になってくれる、様々なスキルを持った人達の情報が欲しい。
- 公式LINEの導入を検討したい。また、サイバー攻撃の防ぎ方の講座も有効か。
- 高齢の方のオンライン活用については、きめ細かいサポートが必要と思いますが、一方で、当面は、町内会掲示板などで、情報難民の方にも配慮した取り組みを、並行して進めていくことも大事かな、と感じました。
- LINEやZoomを利用することで、連絡や打ち合わせが格段に楽に、早くなりました。それを体験してもらうようにしたい。
- 防災ネットワークを作りたい
- 普段はおしゃべりやチャットでいいので災害時に高齢者が取り残されないようなつながりをLINE等でつくっておきたい。
- スマホの使い方をレクチャーする担い手育成教室があれば参加してみたい。
本イベントでも挙げられいた「オンラインの利便性はわかるが、実際にどう利用するのかイメージを持ちづらい」というお声を基に、12 /2に、地域活動におけるオンライン交交流の活用例として、地域の情報を紹介し、新しくお住まいになった住民の方と交流する 「オンライン交流会」を開催します。
12/2 オンラインちよだ探訪~歴史・老舗・地域活動に出会おう!
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