【レポート】地域のつながりを守るために大切なことを考えよう~ちよだコミュニティラボ・チャンネル(4)

ちよだコミュニティラボが主催するオンラインイベント「ちよだコミュニティラボ・チャンネル」。

11月8日に、コロナウイルスの影響により多くの地域のお祭りや行事、活動が休止・延期した中で、つながりについて改めて感じたことや、これからのつながり方について話し合うトークセッション「地域のつながりを守るために大切なことを考えよう」を開催しました。

ゲストとして、

・斎藤光治さん(神田公園地区連合町会 会長、内神田鎌倉町会 会長、民生委員)
・中島伸さん(東京都市大学准教授、インターユニバーシティ神保町プロジェクト)
・丸橋千加子さん(介護者サロン♡ランプの灯)
・梅澤稔さん(千代田区社会福祉協議会)

をお迎えし、それぞれの活動の現状や、この状況下で改めて地域のつながりについて感じたことなどをお話いただきました。

斎藤光治さんと梅澤稔さんと進行の広石は、千代田区役所の会議室にて、ソーシャルディスタンスを保ちながら、参加しました。

斎藤会長の町会では、町会活動を自粛していた時期もありましたが、現在は、感染対策をしながら対面での会合やパトロールなども実施されているとのことです。テレビなどの一面的な情報だけでなく多面的に情報から状況把握を行い、また、それぞれのメンバーの判断に任せて参加できるような形で町会活動をされています。また、久しぶりに一人暮らしの高齢者の方に、敬老のお祝い金を私に訪問した時には本当に喜ばれたそうで、やはり、顔と顔を合わせて話すことの大切さを感じてらっしゃいます。

丸橋さんは、コロナのために数か月の間サロン活動の休止後、再開した時に、参加者の方から「月に1回の集まりだけど、とても大切なものだったんだと気付いた」と言われたことがうれしかったそうです。それはボランティアの方も同じだったそうで、お互いにとても大事な場所であったことを認識されたそうです。
また、サロンが開催できなかった時には、それまで出欠確認で往復はがきを出していたことを、少し変えて、それぞれの利用者の方に、各ボランティアさんからメッセージを添えたお手紙を出すというのを実施されていたそうです。メールもオンラインもある時代だけど「手紙を送る」という丁寧な付き合いをすることを、つながりを絶やさないために意識をされたそうです。また、このようにいつもの活動と違うことをしてみると、ボランティアさんの一人がとても絵が上手だったというような新たな一面をみられたりと、メンバー間での新鮮な気づきもあったそうです。

中島先生は、自粛期間中、なかなか神保町へのフィールドワークもできない状況が続いたそうですが、その中で神保町の地元の方から聞いた「スーパーで最近これまで見かけない人をみかけるようになった。これまでは、新しくマンションにお住まいになった方の顔が見えない状態であったが、普段地元にあまりいない方も、在宅勤務で地元いる時間が長くなり、地元で見かけるようになり、やっとあの人たちだとわかる状態になった。これらの方々と、今後どうやって関係をつくり、まちを一緒につくっていくかが大事だ」という話がすごく印象的だったそうです。コロナで大変なことも多いが、これまで見えていなかった人がみえるようになったというのをきっかけに、次の交流をつくっていくのがこれからのまちづくりのポイントではないかと考えられているそうです。

梅澤さんは、コロナの感染が広がっている中で、地域の活動や社会福祉協議会の事業など、これまでやってきたことを続けるのかどうかの判断が難しく、誰も経験したことないような状況に対してそれぞれの多様な考えがあることを改めて認識されたそうです。そうした中で、社会福祉協議会としてその基準となるガイドラインを作り、方向性を示されてきました。
また、30年近く活動してきたあるボランティアグループがコロナでの活動休止を機会に辞めると相談受けた時、改めて、地域でのボランティア活動の大切さを感じたそうです。ボランティアだからやらなくてもいいことだと考えがちだが、そのボランティアの活動を待っている人もいる。また、そして、ボランティアをしている方にとっても、ボランティア活動が生活の一部だったのだというのに気づき、結局、そのグループの活動は続けようということになったそうです。

こうしたゲストの方のお話から、色々なところで、今回のコロナを経験し、活動ができなくなってみてわかるそれぞれの活動の意義が認識されていたというのがわかります。

また、社協ではオンラインのツールを使っていくことにも積極的に取り組んでいるとのことで、ある講座をオンラインに切り替えたところ、通常30人程度の講座も、100人も申し込みがあったそうで、自宅から気軽に参加できるといったオンラインならではのよさも感じられたそうです。ただ、オンラインについては、今後もコロナの感染が続くなると、オンラインが使えない方とどうかかわるかが課題でもあります。そのような状況に対して、IT企業の人が、Zoomを通じてタブレットの使い方を教えるという新たなボランティアの形も生まれたそうです。困っている人たちを目の前にして、企業の方に関わらず、何か役立ちたいという人からの問い合わせも多く、新しいつながりの可能性も感じられているそうです。

オンラインの話が出たところで、斎藤会長に、ご感想をお伺いしたところ、オンラインもいいのだけど、これまでを考えてみると、会合があってもその後の帰り道が大事だったのでは?という話になりました。帰り道に何気ないことを話したり一緒に飲みに行ったりということが、人と人の関係をつくるには大事でないかと。
中島先生からも、大学でも、授業の後、ちょっといいですかと学生から声をかけられてする相談が実は学生にとってとても大事なことであることが多いこと、さらに、近所で出会ってちょっと立ち話ができるというのが地域のつながりの中で大事であること、さらに、お祭りでおみこしを担ぐのもそのあとの直会に参加したくて担いでいるのではないかというお話がありました。
本来の目的ではない、帰り道の時間、立ち話の時間、隙間の時間、余白の時間が、実は人と人の関係をつくる大事な時間であり、合目的すぎるオンラインにはそれがないことが課題ではないかという話になりました。

また、これからの地域の活動について、梅澤さんから、今までやってきたことを必ずしもしなければならないということではないのではないかという話もありました。この状況に合わせ活動を止めないように、例えば食事会ができないなら、他の目的を作るというのも大事ではないかと。小さな取り組みでもよいので次のアクションにつなげていくことが、これからやっていくことではないかとヒントを頂きました。

その後、一般の参加者の方も一緒に、これからのつながりづくりについて話し合いました。
区内に会社を構える方からは、企業として何か地元に貢献したいと思っているがどうやっていけばよいかわからないというお話がありました。
社会福祉協議会でも、こうした相談はよくあるそうですが、これからの社会貢献は本業を生かし行うことがよいのではという話になりました。また、プロボノなども広がってきており、それぞれの得意なことや、企業の専門分野を活かして地域に参加するというのは、新しい地域の関わり方ではないかとされました。

話し合いが進む中で、子どもたちのために町の企業が協力して職業体験やお仕事を紹介ができるような仕組みができないかという話になりました。そうすることで、未来を担う子どもたちを応援することにもなるし、子ども達と地元の方との接点づくりにもなります。今後、具体的なアクションがを一緒に考えていければということで、会が終了となりました。