【レポート】 アーバニスト@千代田 アクション報告① 神田の「オーラル・ヒストリー」~語りでまちをつなぐ~
区民のアイデアによる新しい活動が1月より始まっています。
その活動の一つに、神田在住の長谷川護さんの提案による『神田の「オーラル・ヒストリー」~語りでまちをつなぐ~』があります。
2023年1月14日に、その活動の第1弾として『神田の声を聴くワークショップ〜「きく」ことでまちと人と繋がろう〜』を開催しました。
神田にお住まいの方など7名にご参加いただきました。
本ワークショップは、ワークショップ形式で参加者同士交流をしながら、「きく」ことについて学び、今後の活動について考えることを目的としています。
活動紹介・アイスブレイク
冒頭、ご参加者同士で参加動機やご自身の神田歴・興味のあることについてお話をいただきました。
「千代田区に勤めているが地域のことを知らない。地域の人の思いを継承していくことが大事だと考えている」「以前千代田区で史料保存の活動に関わっていたため興味を持った」「神田の魅力をもっと知りたい」といったお声がありました。
次に、長谷川さんより活動の紹介がありました。
神田で生まれ育ち、実家の銭湯で店番をする中で人生の先輩と話すことの面白さを知った幼少期。大学でオーラル・ヒストリーに出会い、まちの歴史や生活史に興味を持ち、公文書のような記録には残らない神田に集う人の記憶を残していきたいという想いを持ったという活動の背景・想いをお話しいただきました。
「きく」を知る
「肩肘張らず湯船に浸かる感覚で聴いてほしい」という一言からスタートした次のセッションでは、オーラル・ヒストリーとは何か、インタビューの事前準備・当日・終了後の流れの中で意識することについて説明を頂きました。
質問票を作り事前に共有すること、語り手の話をまとめないこと、聞くためには好奇心と語り手への配慮が必要といった注意点や心構えのお話をいただきました。
その後、事務局の迫田より、事前に実施した長谷川さんへのインタビューで学んだことについて発表がありました。
学んだことの1つはゴールを考えないこと。ゴールに向かって情報収集するようにインタビューを行うのではなく、ゴールは考えず、誘導せず、相手の話したいように話してもらうこと。
2つ目として、普段自分のことについて話す機会がない人でも自然に話せるように、環境や準備を整えることが重要といった話がありました。
本セッション最後の質疑応答時間では沢山のご質問を頂きました。
「町会の資料は残っているのか?」というご質問に対しては「町会資料は残っているが、資料に含まれていない人の話も沢山ある。そのような記録に残っていない話を聴いていきたい」という長谷川さんの想いをお話しいただきました。
また、「インタビュー後の文字起こし・編集時に意識していることは?」というご質問に対しては「語り手の話し方を残すなど、人物像が伝わるよう意識している」といったご回答から、長谷川さんの活動への向き合い方を垣間見ることができました。
参加者同士で聞いてみる
最後は、隣の人と交互にインタビューを行う実践形式のセッションを実施しました。
インタビューの後、感想を共有する時間では、「一度考えたことがある内容は言語化されているので話しやすい。一方で初めて考えることは、考えながら話すので整理が難しい」といった取材を受ける側の立場での感想や、「共感をどう表現するかが難しい」といった取材を行う側の立場でのご相談があり、その場で長谷川さんより共感するうえで大事なことについてのアドバイスを頂きました。
アクションを実践してみて
今回参加できなかったが今後も情報が欲しいという方も多く、本活動への関心の高さがうかがえます。今後も、これらの方々とも協力し合いながら活動を継続していく予定です。
ワークショップにご参加頂いた神田在住の方へのインタビューなどを進めながら、次回は、5月ごろの開催を予定しています。
アクションを実施してみての気づき:
今回のワークショップは、本プロジェクトのご紹介に加え、「きく」「語る」ということを通じて人と人、神田と人が繋がることをテーマとしました。
「神田」のことだから参加したという神田在住の方、千代田区で史料保存をされている方など、様々な方にご参加頂きました。
この活動を通じて、プロジェクトの企画者である私自身が広く、より深く、まちと繋がるように感じました。そしてこれから、どのような神田を知れることができるのだろうと期待に胸が膨らみます。(長谷川護さん)