マルクカレッジ秋葉原「自立訓練(生活訓練)事業所」におじゃましました!

秋葉原の駅前にある「マルクカレッジ秋葉原」は、自立訓練(生活訓練)事業所です。どんな取組みをされているのか、自立支援の施設として大切にしていること、地域との連携などについて、マネージャーの柳橋さん、キャリアサポートチーフの安齋さんにお話をお伺いしました。

マルクカレッジの取組みについて

マルクカレッジは、障害者総合支援法に基づく自立訓練(生活訓練)サービスを提供する事業所です。18歳から65歳までの幅広い世代が、生活リズムの再構築やコミュニケーション力の向上、社会参加への準備を目的に通っています。障害者手帳の有無を問わず、サービス受給者証があれば利用可能です。

マルクカレッジでは、単なる居場所づくりではなく『次につなげる』ことを重視しています。周りとのコミュニケーションやうまく関係を作っていくことが苦手と感じている方々が、マルクカレッジに通うこと自体も含め、周りに人がいることに慣れていき、色々なプログラムを通じて、自分で生活を整え、次のステップへ進むことを目指します。

具体的には、プログラムは、時間割で、ライフ(生活スキル)、コミュニケーション、ソーシャル、ワーク、レクリエーションをテーマに構成されています。生活スキルでは、睡眠リズムの改善や日常生活の整え方を学び、コミュニケーションでは言葉の距離感や相手への配慮を学びます。ソーシャルでは、社会のルールの守り方を学んだり、ボランティア活動への参加などを通じて外部の方と関わるということもしています。ワークでは、就労を目指している方へのプログラム、さらに、趣味やレクリエーションの時間も設け、eスポーツやクラフト、イラスト講座など、利用者の興味に応じて活動ができるようにしています。

支援として大切にしていること

マルクカレッジが掲げる軸は『自己選択・自己決定・自己実現』です。スタッフは『先生』ではなく伴走者として、利用者が自分の意思でゴールを設定し、その実現に向けてサポートします。ゴールは就労だけではありません。家庭生活の安定や趣味活動の継続など、本人が望む人生を尊重する姿勢が貫かれています。そのために、『マルクブック』というツールを活用し、利用者が自己分析や生活履歴を記録し、現在地を確認しながら次のステップを設計する取組みも取り入れています。マルクカレッジには最大2年通うことができますが、その「ゴール」も自分自身で決めてもらうことも大切にしています。

そのため、スタッフの方は、「引っ張り上げる」存在ではなく「ジャンプ台」として、利用者が自分の力で飛び立てるよう支援します。柳橋さんも、安齋さんも、自分たちは「後方支援者」であるとおっしゃっています。例えば、就労先で困ったことがあっても、最後は自分で解決していかなければなりません。いつまでもお手伝いできるわけではないので、その力をつけるため、支援しすぎないけれど、ちょっと背中を押すような、ちょうどいい塩梅でサポートすることに腐心されています。

さらに、スタッフ自身が『楽しみながら働く』ことを重視しているのも印象的です。通っている方は、ある意味支援を受けるプロであり、表面的な言葉では響かないからこそ、スタッフが本気で関わり、リアルな経験を共有することを大切にしています。

地域や他団体との連携について

千代田区内には、就労支援施設は、60以上あるそうですが、マルクカレッジのように自立訓練事業をしているのはわずか2箇所です。本来は自立訓練の次に就労移行となるそうですが、就労移行をしたけど定着が難しかったという方がマルクカレッジに来たり、支援学校から就労移行の前に生活基盤も含めた自立支援をという相談があるそうです。千代田区の就労支援関係の就労支援センターネットワークに登録をし、他と連携することで、隙間のところでセーフティーネットとして機能し、その方々のそれぞれの社会的自律に貢献できればとお考えです。

そのために、合同で説明会や、お祭などを一緒に取組んでいます。昨年は、こうした場所の理解や認知の向上のため合同のフェスを開催し、音楽や交流を通じて『福祉の場』を地域に開く試みもされたそうです。一方で、個々の福祉団体は「点」として素晴らしい活動を行っているが、それらを「線」で繋ぐコーディネート機能が不在しているとお感じで、事業者の誰かが、イベント企画・運営を先導するとその人に負荷が集中し、事業所レベルでの大きな負担となってしまうため、継続するのが難しいとも。今後は、関連団体と一緒に、ゼロベースから何か作っていけるような取組みができたらともお考えです。

現状、社会福祉協議会アキバ分室では、マルクカレッジの利用者さんのボランティア体験を受け入れてくれており、また、ボランティアの日を、社協でふれあいサロンが開催される日と同じにすることで、利用者さんが、地域の高齢者の方々と接する機会、お話を聞く機会なども作って下さっており、こういうつながりをありがたく思っているとのことです。

ただ、どうしても連携をしやすいのは、同じ福祉分野の団体や人たちとなりがちのため、もっと、違う分野の人たちとつながることも大事ではとお考えです。時間割の中では、レクリエーションやサークル活動の時間もあるため、地域の人とスポーツをしたり、サークル活動をするというプログラムの部分で連携していくことも可能性があるのではとのことです。

また、17時以降は、スペースの方を地域の方に使ってもらうことも可能とのことです。実際に社会福祉協議会の「ちよむすび」の会合でも利用されたとのことです。

今回、お話をお伺いした柳橋さんは福祉の分野で「当事者主体とは何か」を問い続け、ご自身も病を抱えている当事者であるともおっしゃっていることもあり、利用者さんに本当に思いをよせてらっしゃいます。また、安齋さんは、金融からもっとより地域に根差した仕事をしたいと転職され、何が利用者さんのために一番いいのかを常に問い続けながらサポートされています。

改めてじっくりとお二人からお話をお伺いし、柳橋さんや安齋さんのお人柄やお考えにも触れ、こうした場所があることの安心感や重要性、または、地域や他施設や、他分野との連携の必要性を認識しました。

今後も、地域での他分野との連携なども広がり、見えにくい障害への理解を広げる啓発活動が進んだり、誰にとっても身近なことになっていけるといいのではと思いました。

■マルクカレッジ 秋葉原
・事業内容:障害者総合支援法に基づく通所型自立訓練(生活訓練)事業
・場所:東京都千代田区神田松永町104番地 TSKビル3階
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