【レポート】ちよだコミュニティラボライブ!2019
2019年2月9日(土)、千代田区役所 1階の区民ホールにて、千代田区をフィールドとする地域活動、NPO、町会、企業、大学など40以上の活動が集まり、コミュニティのミライを話し合うイベント「ちよだコミュニティ ラボライブ!」が開催されました。
本イベントは、同じ千代田区という地域で活動していても、テーマやエリアが違うと、お互いに知り合う機会を持ちづらい中で、NPO・地域活動・町会・大学など千代田区の多様な活動・コミュニティがお互いに知り合い、区民や在勤者の方ともつながり、一緒にできることを共に考える場として開催しました。
また、本イベント開催に当たっては、区内で活動する46の団体(町会、NPO、大学、地域の活動団体)が「実行委員」として、イベントの企画・運営にも参画頂きました。
当日は、雪が降るほどの寒さでお足元も悪い中、町会、NPO、大学、地域活動団体、在勤の方など、千代田区に関わる様々な立場の方たち145人にご参加いただきました。
実行委員の方々には、会がはじまる前から掲示物のご準備や会場の設営などをして頂き、昼食時には各テーブルにて、団体同士の交流する様子もみられました。そのおかげもあってか、会場が温まった状態で第1部を迎えることができました。
■第1部 Community Lab Session 「千代田の活動とつながりの今を知ろう」
開催にあたり、最初に千代田区長 石川雅己より、今回のイベント主旨について話がありました。
出会いは学びであり、出会うことによって新しい価値が生まれます。ラボライブ!を通じて、参加者の皆さんの様々な出会いが生まれ、交流され、千代田区にもっと良いコミュニティができ、活性化していくことを目指しています。また、千代田区には昔から町会がありますが、ほとんどの方がマンション住まいで共働きも多いので、なかなか町会とのつながりが難しくなっています。その中での1つの施策として「神田住みこなしガイドブック」というものを作り、新しくマンションにお住まいの方にも配っています。千代田区でどんなことをしているのか、まちの人はどんな活動をしているのかを知ることで、新たにつながりを持つ方も多くいらっしゃいました。今回の参加者の皆様方が活動していることをつなげていくことで、千代田区をもっと良いまちにしたい。そういう思いでラボライブ!を開催していると、話しました。
第一部のCommunity Lab Sessionの中では、千代田区をフィールドにコミュニティ活動する方たち、コミュニティ活動を始めようとする人たち、千代田区内にある短期大学・大学・大学院などの研究機関が千代田区の様々な事象を多様な切り口で調査・研究する「千代田学」に取り組む人たちなどが、自分の活動内容や研究成果を紹介しました。
以下A~Iの9つのカテゴリに分かれ、団体それぞれのテーマで行われました。どの時間のどのカテゴリも観客が居ない発表がなく、質疑応答や発表後の交流時間も含め、盛り上がりを見せていました。発表の形式は自由だったこともあり、パワーポイントなどのプレゼンツールを使用する方だけでなく、パンフレットや制作物などを見せる団体や、パフォーマンスをする団体、参加者の方と一緒にゲームを楽しむ団体など、多彩な形でそれぞれの活動を紹介していらっしゃいました。
A:町のことをわかちあう
①共立女子大学 家政学部児童学科 本澤ゼミ
千代田区の魅力を知ろう!「千代田区子ども検定」
②法政大学 エコ地域デザイン研究センター
九段・神保町地区の地域史資料を知ろう、活かそう
③インターユニバーシティ神保町
古書店街の未来を共に考えませんか?
④二松学舎大学 谷島貫太ゼミ
ウィキペディアの記事作成を通して地域を知ろう!
⑤神田公園地区連合町会
神田に住む魅力を共有する「神田住みこなしガイド」
B:まちをもっと楽しむ
①CCxTokyo(ちよだで遊ぶ会)
都心部の魅力発信の街歩きを通じて交流をグローバルに広げよう
②日本大学 田中ゆかり・林直樹
時空を超える!ヴァーチャル散歩してみませんか?
③上智大学 川西諭
まちあるき学習プログラムで地域愛を育む!
④特定非営利活動法人リーブ・ウィズ・ドリーム
まちのバリアーフリーマップをみんなでつくろう
⑤半蔵門あるまっぷ実行委員会
すれ違い際に挨拶できる街をつくるには?
C:誰もが笑顔になる町を
①千代田区障害者よろず相談モフカ
誰もが笑顔になる、みんなのリビングルーム
②Chiyoda Community Connection
千代田コミュニティからOurコミュニティをつくる交流活動
③ちよだ日本語カフェSwan
外国人が多く住む千代田区だからこそできることは?
④Chiyoda Bon-dance Mates
盆踊りから始まる助け合える町
⑤特定非営利活動法人生涯学習を推進する会
障がい者や高齢者が安心・安全で住みやすい環境づくり
⑥【展示のみ】NPO法人 国際活動市民中心
外国人にも住みやすい千代田をつくるには?
D:コミュニティを考える
①NPO都市住宅とまちづくり研究会
住まいを核にしたコミュニティ再生
②大好き神田(神田公園地区連合町会)
町の情報の共有から始まるコミュニティづくり
③富士見二丁目町会 広報部
町会の活動を伝えるホームページの立ち上げ
④萩原純子
町会の婦人部・福祉部で地域を見守る
⑤神田プロレス
ご当地プロレスで、子どもたちや地域を元気に!
E:千代田の可能性を探る
①東京家政学院大学 現代生活学部現代家政学科
江戸エコに学ぶ、千代田の食品ロス削減
②法政大学 人間環境学部 高田ゼミ
千代田の緑・水辺・生き物を知ろう!
③千代田区観光協会
千代田区の観光の今とこれから
④御茶の水美術専門学校
「風ぐるま」に関する福祉交通バスデザインの提案
⑤特定非営利活動法人 地球の友と歩む会
千代田からできる南インド、インドネシアの支援とは?
F:千代田との新しいつながり方
①ちよとも
ちよだの人が楽しく、ゆるやかにつながる場づくり
②千代田区100人カイギ
街で働く100人の社会学的ミートアップ
③サンサン倶楽部
遊び・仕事・社会貢献の3つのある暮らしを始めよう
④BooksBee Tokyo
人とまちがつながるブック・シェアリング
⑤一般社団法人協働プラットフォーム Webラヂオちよだ
ウェブラジオがつなぐ千代田の人と町
G:健康に、元気 に暮らす
①健康づくりを楽しむ会
保健所の健康づくり推進活動をもっと活かそう
②大妻女子大学 食育ボランティアグループ「ぴーち」
食育活動で、心身の健康力をアップしよう!
③日本歯科大学東京短期大学 大島克郎
地域の歯の健康づくりを進めよう!
④NPO法人 シニア大楽
あなたもシニア講師デビューしませんか?
⑤東京メトロwith ためまっぷ
地域情報発信の支援について
⑥【展示のみ】大妻女子大学 川口美喜子
元気で楽しく素敵なママになるための応援!
H:自分を活かして地域とつながる
①NPO法人 りぷりんとネットワーク
絵本の読み聞かせが生み出す多世代交流
②編み物ボランティアグループ ひつじの会
編み物を通じての居場所づくりと多世代交流
③すみれボランティア
要介護でも、人生満足!の暮らしを実現するには?
④ちよだ生涯学習カレッジ
学びで地域とつながり、自分を活かそう
⑤千代田区社会福祉協議会
住み慣れた地域で安心して暮らし続けるには?
I:都心での子育て を充実しよう
①就学準備教室りりーふ
不安を払拭!親子で楽しむ就学準備
②子育てサロン「セボン」
親子で遊びに来てみませんか
③Kanda Baby & Kids
神田、秋葉原を子連れでもっと楽しもう
④共立女子大学 看護学部 母性看護学ゼミ
マタニティライフをもっと快適に
⑤ちよママ
都心での新たな子育てスタイルを一緒につくろう!
■第2部 Community Collab. Session 「まちの“つながり”をデザインしよう~コミュニティ×コミュニティから生まれる、ちよだのミライ」
第2部 Community Collab. Sessionでは、千代田区で活動を実践する人が、活動の内容や分野を超えて、以下の地域や活動の課題について対話しました。
【対話のテーマと論点】
<テーマ>
【分野を超えて話し合いたい地域課題】
A:2040年問題(高齢化、若手人材不足、インフラ老朽化)に備えるには?
まず、2040年問題に対して、自分のことは自分の責任であり、答えを外に求めてもダメで、落語など自分にできることや技を身につけたり、生きがいを見つけたりするべきだという個人の意見から話し合いは、はじまりました。
技術は進歩し、個人でできることは多くなり、誰でもスターになれる時代に。そして入管法が変わり、グローバルになり外国人住民の方も増えていきます。そうした外国人の方に対して、まだコミュニケーションを上手く取れていない現状もあり、検討が必要だという話もありました。
SNSの発達もあり、Facebookなどを通じてつながれる人は大丈夫だが、つながれない人はどうすれば良いか、課題が残ります。特に地震など災害についての情報共有をどう考えるか課題として挙げらました。
B:世代間ギャップが広がる中で、世代間交流を進めるには?
そもそも世代を超えて交流できる場が少ないのが課題であり、それはITツールを使うよりも、実際に話をしていくことが大事。その具体的な案としては、スポーツやカフェ活動、サークルなどの趣味活動などがあるのではないかといった議論がありました。さらに、世代間交流の意味として、シニアが活躍できる場ができるという側面もありますが、世代間交流ではお互いがあくまでもフラットな関係であることが重要ではないかといった話も出ました。
その他、世代間の共通言語を考えたいという意見や、地域単位での世代間交流・講演会を開催したいという意見が出ました。
C:マンション生活のリスクに備え、安心・充実の増やすには?
マンション生活のリスクとして、「ゴミ出し」や「過剰なセキュリティ」についての話が出ました。「ゴミ出し」についてはモラルの低下や分別の難しさの話がでましたが、特に外国人住民の方にゴミ出しルールを理解してもらうのための工夫が必要ではないかということです。「過剰なセキュリティ」については、隣や向かいに住んでいる人のことが分からなかったり、屋上に上れなくなったり、いざという時に頼れなかったり、壁も頑丈で隣の音がわからなかったりが、課題ではないかとされました。また、町会側からアプローチしようとしても、管理会社の方にシャットアウトされることもあるそうです。そうした中で、緩やかなつながりや楽しいつながりが必要という話になりました。
D:町会など地域コミュニティの未来は?
古くから町会活動に関わっている町会長さんからは、そもそも「新住民」「旧住民」という言葉が対立を表すので良くないのでは、また、町会自体も、新しく住むようになった方のライフスタイルや考えに歩み寄るような取り組みが必要という意見がありました。一方、あまり町会活動に関わっていない方からは、いきなり町会へ入るのはハードルが高いので、まずは、その間をつなぐ入り口となるような地域の気軽なイベントや飲み会などが必要ではという話が出ました。
また、地域や町の情報が行き渡っていないことが地域に関わるきっかけがない事につながっているという話がある一方で、町会長さんからは、チラシを配布したり、回覧板などで知らせたりしているのに、いざとなると届いていない、知らないと言われてしまうという現状の問題も提起されました。地域のコミュニティ形成のためには、地域の情報をどう共有していくかも課題であることが浮き彫りとなりました。
E:千代田の魅力や可能性をより多くの人に伝えるには?
千代田の魅力や可能性をより多くの人に伝える方法として、まず地域特化ガイドを設けるという案が出ました。神田や秋葉原には、普段から回遊している方がいて、そういう方をガイドとして認定すれば良いのではないかということでした。
千代田の観光地としては秋葉原が有名ですが、かつてはアマチュア無線、現在はメイドカフェにグルメなど特徴はあるものの、最近はトリップアドバイザーなどの評価も下がり、人気は下がっているとのこと。
そうした中で、秋葉原以外のエリアでもキーとなるガイドを設け、増やしていけば良いのではないかという話になりました。その一歩として、JR神田駅構内にできた神田インフォメーションを活用しようという話が出ました。国内外問わずローカルな魅力を発信していくことが期待されているようです。
【活動を進め、コミュニティを広げる課題】
F:活動の仲間やコミュニティ参加者を増やすには?
参加者の方の悩みは、長期的に関わってくれるメンバーがいなかったり、新しい層に広がらなかったり。実施頻度を増やしたくても人手や特技が不足しているなどの話もありました。自治会は加入率が減り、町会についても今の子ども世代も運営することが出来るか不安とのことでした。
得意なものが多様な人を集め、適材適所に人を活かしていきたい中、受け入れ団体の器をどう広げるか。責任や義務感が勝ると難しいので、楽しさが大切という話になりました。
G:チラシ、ネットなどを使った効果的な情報発信は?
欲しい人・必要な人に、必要な情報を届けるにはどうしたらよいのか、という共通課題が出され、話し合いが進みました。ターゲットが明確であれば、例えば、町会のお知らせは直接お届け、類似イベントでのチラシは挟込みなどの対応が可能。ただし、マンションのセキュリティ(オートロック等)でポスティングも難しいのは千代田区では特に大きな課題。そんな中、区報は信頼性もあり、広く情報発信する媒体としては強いという意見は、参加者内で一致しました。ラボライブの参加団体でもある「ラヂオちよだ」や「ためまっぷ」「都営地下鉄(の車内サイネージ)」に「地域枠」が持てないかという提案もありました。
情報更新の継続性にも関心が高く、区民の方から情報を提供してもらう際にはその方の名前が掲示されるなどのインセンティブ、貢献を可視化する仕組みもあると良いのでは、という意見も出されました。
H:会費、スポンサーなど安定した資金を確保するには?
補助金が無くなった時の事業継続の方法や受益者からお金をとらないで事業を回す仕組みについて、話し合いが行われました。運営を続けるに当たり、ボランティアと言っても交通費くらいは欲しいところで、会費をどう増やすかなどの話題がでました。
例えば、お祭りなど公共性のあるものには町会からのご祝儀や協賛金などお金が回りやすい現状がありますが、全ての団体がそうはいきません。
会を進行して下さった神田プロレスさんは、クラウドファンディングなども試されましたが、実際にやるとなると労力が多く、現在はプロジェクトも増えたことで飽和状態とのこと。プロレスという特性上、マスコミはじめメディアには多く取り上げてもらえるものの、それが運営資金にはつながりにくいとのことでした。企業からの協賛金をもらうにしても、お願いの仕方が分からず。ロータリーや青年会議所は、やることが固まっているので、なかなかお金を出してもらいにくいという話も出ました。そうした中で、株主として商店の人にお金を出してもらったり、WEBサイト広告の活用したりするなどの案が出ました。
I:団体・会社を超えて交流を広げる企画は?
千代田区内には、たくさんの団体があり、違いや特徴を見つけるのも大変で、そもそもコミュニケーションを取る機会も多くありません。また、千代田区内の大学としても、なかなか大学を超えた活動がないという現状についての話もありました。
その中で、ちよだ日本語カフェSwanは今までに、同じ千代田区内の団体「ちよとも」や千代田区内の福祉施設で外国人との交流を軸にしたコラボを行い、千代田学の取り組みにも参加してきました。
また、ちよともは昨年度のラボライブを通じて共立女子大学ともつながり、一緒にイベントを行ったという話も出ました。具体的に、CCxTOKYOと健康づくりを楽しむ会のコラボ案なども出て前向きな話し合いとなりました。
■第3部 Co-Creation Session 「つながりを深め、次へのアクションを考えよう」
最後の第3部では、第1部での発表と第2部での対話を受けて、参加者同士で協力・連携できること、今後のそれぞれの活動に参加してみることなど、新しい一歩を踏み出すアクションについて話し合い、シェアしました。その中でサンサン倶楽部といくつかのグループの連携や、アプリ「ためまっぷ」の活用、ちよともと各大学との協働、町会の方の100人カイギでのご登壇など、新たなプログラム開発や具体的な連携案がでました。
会全体を通じての参加者の声としては、
・千代田区のことをそれぞれ考えているのが伝わった。
・たくさんの人がコミュニティを作っていることがわかってよかった。
・いろいろな経験、スキル、考えを持った方とお話しできてとても楽しく、良い経験をさせて頂きました
・·若い方から年配の方まで活発に活動している方の多さに驚きました。うまくつなげることでより良くなる気がします。
・千代田区には色々な形で地域に関わる方がいて、お互いに交流し、連携することで、多くの可能性が生まれそうなとても興味深いコミュニティだと感じました。
といった声が聞かれました。
昨年度もそうであったように、今後、本イベントでの出会いなどがきっかけとなり、ここから団体同士の繋がりが生まれ、新しいプロジェクトが生まれたり、一緒に何か取り組むといった発展が期待されます。