170を超える書店が集まり、神田古本まつりや神保町ブックフェスティバル等のイベント、出版社も多数ある神田神保町は、世界一の本の街と呼ばれることがあります。同時に大学や予備校なども多い学生街、伝統ある多彩な飲食店の集まる地域であり、近年はマンション増加による暮らす街という面も充実してきています。知れば知るほどディープな魅力に気付く神保町を散歩することが好きな人もたくさんいます。
神田神保町界隈も、新型コロナウイルス感染症の拡大によって来訪者が大きく減り、お店の経営は大きな打撃を受けています。テレワークやオンライン授業の拡大によって、ビジネスパーソンや学生とお店や街との心の距離が開いてしまうことも懸念されています。
神保町のこれからは、どうなるのでしょうか? 在住・在勤・在学者とお店の関係を守り、充実していくには、どうしたらいいのでしょうか? 神保町を好きな人で、話してみませんか?
対話の内容
<まとめ>
・神保町に思いを持つ人はたくさんいる!
・町が変化する中で良さをどう守るか、これからを共に考えることが大切
<話題提供者の問いかけ>
◎島田剛ゼミ 明治大学情報コミュニケーション学部
「神保町街づくりとコーヒーの新しい関係とは?」
書店街は経済のデジタル化によって大きな影響を受ける。神保町のまちづくりには滞在時間を増やすことが大切と考え、神保町の喫茶文化に注目した。SDGsにも配慮した、こだわり珈琲を店舗と一緒に広げたい。店を残したくなるインセンティブの議論も必要だろう。
◎中島伸さん 東京都市大学准教授
「古書店等の生業を継続できる都市デザインは?」
大学連携プログラム「インターユニバーシティ神保町」で地域の方と古書店街の現状と今後のビジョンの検討を進めてきた。都心で小規模、老朽化した古書店等の生業を継続し、地域文化を残すためには共同建替も必要だと考えている。街のビジョンの議論が必要
◎島倉雄哉さん 明治大学生 note『大学授業一歩前』運営者
大学が遠隔授業となり、神保町を訪れる学生も減っている。大学のある地域の今を伝えるべく、書店の方から学生向けのメッセージをいただき、WEBで発信する活動をしている。
◎町田育代さん 男女共同参画センターMIW
MIW登録団体に神保町応援隊があり、書店街とつながっている。コロナで訪問者も減り、ネットで買う人が増える中で、何ができるか考えている。ジェンダーをテーマにした協働企画などもできたらいいと思う。
◎髙山肇さん 高山本店 神田古書店連盟顧問/千代田区商店街連合会会長
古書店街も建替期にあるが、個別では難しく、共同建替もその後の家賃の高さも含め、再開発後に店や街の文化をどう続けるか考える必要がある。新しいルールを作るなど議論を一歩進めるべき時が来ている。
◎青野芳久さん 神保町地区地域コミュニティ活性化委員会 神田猿楽町町会副会長
生まれ育った者にとって、近年、マンションやオフィスビルの増加により、町の変化も感じる。住む町、働く町、学ぶ町の融合を考える必要があると思っている。
◎飯田加世子さん 神保町地区HP委員会 活性化委員会
古書店街も変わらないようで少しずつ変わってきている。新しく町に関わってくれる人とのコミュニケーションが大切。伝統の中、新しいことも、古いものを活かすことも考えたい。
◎スーザン・ティラーさん 東京大学学際情報学部
ハーバード大から東京大学に留学し、神保町を研究している。書店、カレー店、喫茶など全体が生きている文化財のような町だ。たくさんの人が守りたいと思っていることも素晴らしい。