【ゼミ 第6回:レポート】公開対話 聴こう、話そう これからの千代田のコミュニティのこと
「マンション・コミュニティ・ゼミ」の第6回が2017年9月10日(日)14:00~、千代田区役所内の会議室にて開催されました。今回は公開対話。テーマは「聴こう、話そう これからの千代田のコミュニティのこと」です。
ゼミ生以外の千代田区に関わりがある方にご参加いただき、29名で「これからの千代田のコミュニティ」について対話をしました。特に、新しい参加者の方には30代の方にも多数参加いただきました。
対話の中で出てきた参加者の方のコミュニティに対する考え方、これからやりたいことを中心にご紹介します。
■イントロダクション「マンション・コミュニティ・ゼミのこれまでとコミュニティについて」
マンション・コミュニティ・ゼミはこれまでの5回を通じて、千代田区内のマンションに住む人たちが、まず同じマンション内、さらには地域と、どのようにつながっていけばいいか、マンション毎の特性や住む方それぞれの考え方に配慮した新しい発想での取り組みを、共に考え実践しながら学んできました。
コミュニティとは、地域に住む人たち・関わる人たちがつながり、助け合ったり、支えあったりできる関係のこと。
ですが、時代の変化に伴い、地域を生活や仕事の基盤とする方は限られるようになり、プライバシーを重視する人も増えるなど、現代も過去と同じようなコミュニティを維持していくのは難しくなっています。
しかし、人は、自分の居場所と出番を求めるもの。
コミュニティが求められることは変わりありません。
なので、時代に合わせてコミュニティの紡ぎ直しをすることが必要になります。
マンション・コミュニティ・ゼミで目指していることは「コミュニティにつながる活動の実践」。実際に、ゼミ生の方々が勉強会や対話の場などを実践していくことを目指しています。
集まっている方は千代田区に住み、通っている方たちですが、ほとんどが初めて会う者同士で、最初、少し雰囲気も固い印象でした。
そこで、アイスブレイクとして、会場を千代田区に見立て、自分の住む、通っている地域毎に移動してもらい、近くにいる人でグループをつくって自己紹介をしました。「すぐ近所に住んでいる人に初めて出会った」という声もあるなど、一気に雰囲気は打ち解けました。
今回の対話は、具体的な6つのテーマをきっかけに参加者同士お互いの経験や考えを知り合い、地域で起きていることや、地域に関わる人の違った考え方に気づき、これから何が大切か・必要かを考え、自分にもできることはないか考えはじめることを目指して行われました。
①育児・外遊び・習い事などを助け合えるには?
②高齢者も健康に安心して暮らせる環境とは?
③会社員の関わり方、退職後の入り方は?
④つながりを育みやすい街をつくるには?
⑤マンションと町会の良い関係をつくるには?
⑥地域で孤立する人を作らないようにするには?
ワークをはじめる前に6つのテーマそれぞれについて、ゼミ生の方々ご自身の経験を元にした課題を発表してもらいました。
1. 自分の子どもと近所の子どもが知り合う機会がない
2. 地域の方の生の情報が少ない
3. 高齢化しているマンションの居住者が安心して健康に暮らしていくには
4. イベントの情報をいかに地域の高齢者に届けるか
5. 退職後の地域との関わり方
6. 地域における人間関係のストレス
7. 地域においてコミュニティ運営に興味がある人同士のつながり
8. 多世代が趣味を通じて友達になる試み
9. マンションセキュリティ向上に伴う地域との断絶
10. 地域と民生委員のつながり
11. 高層マンションの災害時の孤立死
こうした課題を1つの対話のきっかけとして、グループに分かれてのワークに移りました。
■対話「聴こう、話そう これからの千代田のコミュニティのこと」
今回の公開対話では、ワールドカフェという手法を用いました。
ワールドカフェは、リラックスした雰囲気の中で、様々な背景をもつ人たちとの会話を楽しみ、お互いをもっと知る交流と相互刺激からの創発を目的とした対話の手法です。
各テーブルでカフェの様に少人数でテーマについて話し合い、制限時間が来たら、テーブルの中の1名だけを残し、それ以外の方は他のテーブルに移動、残った1名が次に来た方たちに、それまでの話し合いの流れを共有するという流れを続ける形で進めます。
各テーブルの話し合いでは、それぞれが考えたことを大きな模造紙に自由に書き込んでいき、テーブルの対話内容全体が分かるように残していきます。
6つのテーマに分かれ、各テーブルで18分間の対話→1人を残して移動→18分間の対話→1人を残して移動…を3回に分けて進行しました。
3回が終わった後は、最初のテーブルに戻って頂き、各テーブルでの話し合いの振り返りをしてもらいました。
その後、下記2つのテーマについて、ひとりひとり紙に書いて頂きました。
①今日の対話を通して、千代田のコミュニティについて考えたこと(課題、大切なこと、可能性)は?
②千代田での人のつながり、コミュニティが活性化するために自分が取り組みたい、できたらいいなと思ったことは?
それぞれ、さまざまな視点からの意見をいただきました。
①今日の対話を通して、千代田のコミュニティについて考えたこと(課題、大切なこと、可能性)は?
- 身近な人とのコミュニケーション、信頼関係、安心感を築けるよう、日常的な声かけが大切
- 知らない人同士では急にできないので、繋いでいくキーパーソンの存在が必要
- 利用者のニーズと運営者のシーズの差を埋めたい
- 近所の知り合い、友人を増やすことが大切
- 町内や保育園イベントだけでなく、民間の情報にもアクセスできるようになると、より参加者が増えるのではないか
- 多様な人が集まり、気軽に繋がれる場を開発/拡充したい
- まずは地域を知ることが大切
- 今の生活が豊かになりすぎていて、不便さを感じていない。人とのかかわりが少ない。困っていても声を出さない。
- 社会課題を説明するときに、フォーカスの仕方を工夫することが大事
- 本質的な支援は何かを見極める
- 無理に一つにまとめない
- 地域コミュニティに参加できていない方には、ちょっとおせっかいでも声を掛けてあげるとコミュニティが広がる可能性がある
- 千代田区が区全体の町会マップや各問い合わせ先を整備する必要性を感じた
- 町会のHPを作り町会長や窓口、問い合わせ先を転入時に教えて欲しい
- 定期的な住民説明会で、町会活動の内容と会費を住民に告知して欲しい
②千代田での人のつながり、コミュニティが活性化するために自分が取り組みたい、できたらいいなと思ったことは?
- マンションや地域の活動に参加してみようと思ってもらえるような声かけやお誘い
- 活動の主体側として、多くの人が参加しやすいような雰囲気や仕掛けなどの働きかけ
- まず、地域(町内)企画のイベントに参加する
- 同士、人と地域が知り合い、分かり合える場所や機会を設ける
- 情報をもっと積極的に共有する
- 分断社会にならない為に小さな集合体を繋げる。(新旧住民・地元とマンション・地域と地域)
- 麹町地区・千代田区全体での活動
- 元気な高齢者の方と一緒に子供たちと山王祭をテーマに工作教室
- マンションの管理組合に地域活動に対して興味を持ってもらえるように誘導
- 「ちよとも」には今後参加してみたい
- 町会にも参加してみたい
- カテゴリーに興味のある人達をきっかけにエリアの人々が集える場を設ける
- 地元呑み。公式でない、ゆるやかなつながり
- 働く若い世代のサポート
- 千代田区内の町会長さんによるワールドカフェ
- 若い方が(新規の方)参入しやすいような活動の仕方をわかりやすく紹介するWebサイト
- 手続き(告知)の仕方をWebでできるように高齢の方に教える、あるいは代行する
最後にいくつか感想を発表してもらいましたが、
・神田っ子になりたくて千代田区に引っ越してきたが、町会などに入るにあたっての色々な意見を聴けてよかった。
・コミュニケーションをとりたいと思っているかどうか人により差があることに気付いた。
・児童館を利用したくても使える時間が合わないなど、理想と現実の差があるので埋めていきたい。
・今日のイベントで託児を使わせてもらえてありがたかった。
・親子でマンション生活を送っていく上でのヒントをもらえた。
・次のアクションにつながるような、出会いができた。
など、今回の公開対話だけに終わらない、今後のコミュニティづくりや生活に活きるという感想が並びました。
今回、多様な住む方、通う方の意見をお互いに知ることができ、地域の関心事やニーズも見えてきました。対話で話し合ったことは、これからのゼミでのアクションにつなげていきたいと考えています。
ゼミ参加者によるイベントも開催予定です。その時には、今回参加できなかった方も、ぜひご参加ください。