町会をめぐる新しい住民の意識・町会員の意識

近くにあっても遠い?  町会をめぐる意識

「町会」という言葉から何を思い起こすか、価値観も地域交流の経験も多様な現代では、人によって大きく違ってきます。

新しい住民と町会員との意識の違いは、どのようなものか?

ちよだコミュニティラボでは、平成29年度に神田公園地区連合町会をフィールドに町会長や町会員へのインタビュー、新しい住民へのインタビューや「町会Q&A会議」などを通して探ってきました。

新しい住民から見た町会への意識

  • 神田の町が気に入って住み始めたが、「じゃあ町会に入ろう」とは思わなかった
  • 町会を意識していないと、イベント案内があってもスルーしている
  • 町会が何をしているのか、どんな人がいて、活動の楽しさは何か、イメージが持てない
  • 実態は知らないが、負担が大きそう、お金をとられそう、付き合いが面倒そうというイメージがある
  • 町会を知ろうとネットを検索したが、町会のサイトにたどり着けなかった
  • 町会への入り方がわからない。いつ、どこにコンタクトすればいいか、外部から見えない
  • 地域のベテランの方たちは関係もできていて、仲良さそう。私たちが入れる余地はあるのか?

町会員が新しい住民に感じること

  • 古くから住む人と新しく住み始めた人でコミュニケーションの感覚や取り方が違う。お互いに相手の感覚を知っていないと、悪気がないのにすれ違ってしまう
  • マンション住民は数年後もいるかわからない人も多い。新しい住民には、地域に関わりたくないと、避けている人たちもいる。
    そのような人たちと、どう関係をつくればいいのか?
  • 町会は、どう新住民と関われるか悩んでいるが、新住民の方は地域のことを考えてるのか?
  • 祭りや餅つきなどの行事を町会の人は大切にしたいと思っている。それをわかってもらえるだろうか?
  • 祭りやイベントに参加している人はいるが、町会活動への参加につながっていない
  • 神田は住職近接のライフスタイルを基に発展してきたが、今、増えているのは住まいと仕事は別の人。その人たちが地域に関わる意味は古くからの人にとっての意味とは違うだろう

対話を通して町会について考えてみよう

「町会って何なの?」という疑問を、神田公園地区の町会長に尋ねてみました。

町会は何をしているのですか?

  • 町に住む人や働く人が足並みを揃えて、よいまちづくりをするために、会員相互の親睦と交流のための祭りや美化イベントなどの行事、自主的な防犯・防災活動、消防・警察との連携による備え、町の環境美化などをしているよ

町会に入るメリットって何ですか?

  • 活動を通して町のことを知れたり、町の人と仲良くなれることかな?
  • ただ、メリットばかりを求めて、町会に入ってもらいたくはないな。町会活動には、防犯、防災などの責任も、伝統を受け継ぐ意味もあるので、“自分のメリット”だけじゃないと思う
  • 町民文化の基本は自治にあるからね

なるほど。でも、それって新しい人には少し重く感じるかも

  • いきなりだとね。まずイベントに参加したり、似た世代の住民で知り合って、神田のことを好きになってもらえたらと思う
  • 転校生がいきなり学級委員長になるのも難しいだろう
    お互いに気にはなっているので、知り合っていくことが大切だね

知り合うには、どうしたらいいですか?

  • 町会は色々なイベントをしているから、参加してみたらいいよ。参加してみると意外に楽しいと新しい人も言っているよ
  • 神田の祭りは当日は人が多いので、準備や片付けに来てくれると、話もしやすいし、町会の人にとっても助かるよ

イベントに行ったけど、受付がなかったので帰ったという話もありますが

  • これまで町会員、特に知り合っている人同士ばかりのイベントだったから、新しい人への対応に慣れていないし、そういう困り事に気づいていないかも

新しい住民からは「見えない」「きちんと運営しているの?」という声もありますが

  • そのため、WEBサイト「大好き神田」にはイベント案内やレポート、町会長インタビューなどを掲載しているよ

このような対話を通して、神田公園地区連合町会では、町会も新しい住民の視点に沿った情報発信が大切だということ、そして、町会への加入の前に、先ず町を好きになってもらうことが大切ではないか、と考えました。
そこで生まれたのが、神田公園地区連合町会「神田住みこなしガイド」です。

町会に対する考え方、町会と新しい住民の関係は、町会によっても、町会員によっても違っています。ただ、先ず町会員と新しい住民が顔見知りになること、そしてお互いの考えを尊重し合い、自分にとっての新しい関係の持ち方を考えてみることは、どの地域でも求められていることではないでしょうか。