神田公園地区 町会長の語る地域の今

ちよだコミュニティラボライブより

変わりつつある神田の町を、長く地域を支えてきた町会長の方たちは、
どのように見ているのでしょうか?
「ちよだコミュニティ ラボライブ!」第1部でのトークの内容をご紹介します。

坂井会長(司町一丁目町会、神田公園地区連合町会長)

こんにちは! 神田公園地区連合町会の会長、司町一丁目の町会長をしている坂井です。神田に60年間以上、住んで、仕事をしてしています。神田公園地区には20の町会があります。小川町地区に7町会、錦町に4町会、神田公園の周りに8町会があり、多様性があります。多くの町会は小規模で、私の町会も170所帯しかないのですが、何とか2年に1回のお祭りで神輿を出す事ができています。神田橋町会は昭和48年ごろにできた区営住宅で一つの町会となり、90所帯の方が加入しています。これらの20町会の町会長が、毎月1回神田公園出張所に集まり、色々と議論しているのが連合町会です。

神田にもマンションが増えていて、美土代町会、多町などはマンション開発が進んでいます。私の町会にも14階建ての分譲マンションが建つことなっています。それまでワンルームマンションがメインで、あまり地域と関わっていなかったが、今回できるマンションは町会にも連絡いただいたので、来年の1月の住民説明会には参加して町会を紹介しようと思っています。長く住んだ人が町から出ていくのは続いていて、昨年も100年以上住んでいた家族が出て行ってしまった。やはり、これからは、マンション住民の方にも入っていただかないと町会は成り立たないと思っています。

大井会長(司町二丁目町会)

千代田小学校も千代田幼稚園も年々子どもが増えています。マンションが増えているからで、また、千代田区の小学校、中学・高校、大学とそれを狙って住む人も多いと聞いています。そういった意味でも子育て世帯で住む人が増えているのではと思います。

千代田小学校と、私たちの町会は、同じ司町二丁目町会の町会員です。なにかにつけてお互いにお世話になったりお世話をしたりしています。一連の行事に何があるか書き出してみたところ、30くらいありました。入学式、学芸会、卒業式、小学校の運営連絡会、幼稚園の運営連絡会など、色々な会合に引っ張りだされ、小学校の行事にも参加しています。

町は住んでいる人は少なってきています。盆踊りなど、準備のための人が少ないと感じます。神田祭りも担ぎ手はおかげ様で、日本全国から集まって頂いているのですが、ものを出しに行ったり、ものをしまったり、に人が足りません。せっかく神田にお住まいになったのなら、ぜひ、祭りに参加して楽しんでいただきたいと思っています。ただ、担ぐだけでなく、神輿を箱からだしたり、磨いたり、当日は、一生懸命担いで、途中の警備などの雑用もしていただくが、終わったら拭いたりして神輿館に持って行く。そうした準備から片付けまでを一緒にやることによって、町にしっかり根付いた関係ができるのではと思います。たまたま縁あってお住まいに頂いた方に、ぜひ準備から参加してもらえればと思っているのです。

藤井会長(錦町一丁目町会)

錦町は区画が大きく、大企業や神田警察、保健所、正則学園などがあるエリアです。企業には日清製粉、イオン、島津製作所などの大きな企業があります。この20年で、やはり、ビルも建て替わり、マンションもかなり増えています。そういった中で、現在進行中のもの、これから大規模整備が進められていくものなどもあります。

そういった中で、町会活動としては、やはり、企業の法人会員さんの参画が欠かせないものとなっており、企業の参画の促進を重要視しています。また、最近、テナントビルの老朽化や区画整理などで建て替えなども進み、その中で、従来会員さんだった企業さんも転出していくことが増えています。せっかく支えてくださっていた企業さんたちも出て行ってしまうのが悩みとなっています。マンションの住民の方々の参画ももちろんだが、錦町界隈では、企業のみなさんの町会への参画が肝になっているのかなという状況です。

針谷会長(内神田美土代町会)

美土代町では4つほど新しいマンションができて、今までとガラッと変わった雰囲気になりました。その中で、私どもの町会だけでなく他の町会もそうだとは思うが、地元の人間がだんだん減ってきているのです。そういう現実の中で、今後、結局うちの町会をどう運営したらいいのかと、自分なりに悩んでいた矢先に、コミュニティ勉強会を案内いただき、参加してみて、みなさんもそのようなことを考えているんだと実感したところです。今日は、千代田区や神田に関心のある方がいらしていると思うので、こういう機会に少し少しでもお近づきになれればと思っています。

横田会長(小川町北部二丁目町会)

小川町の町会長の横田です。数年前までは、マンションについて神田では、麹町のようには問題になっていなかった。気持ちのある人は、待っていれば町会に入ってくれるだろうくらいの感覚でいたのですが、コミュニケーション自体を避けるような風潮にある中で、町会もそうだし、町会に入っていないマンションの人はマンションの中でのつながりがないことがわかってきました。また、7年後の2025年には団塊の世代の皆さんが後期高齢者になるということで、この人たちのコミュニケーションはどうなるのかなと懸念しています。

同じ地域で住んでいたり、仕事をしたりしている人たち同士で、コミュニケーションをすることで、助け合って、地域のコミュニティができあがっていきます。町会を運営する立場からは、多くの町会員がいて、ほとんどの人と町会の中で話ができるということが望ましいと思っていたのですが、町会以外のコミュニティをつくるためにも、町会が一つの起爆剤になるという役割もあるのではと考えるようになりました。

神田公園地区の町会だけでなく、千代田区中の町会、町会役員は、常にそういうことを考えています。どうやったら我々のことをわかってもらえるのか、どうやったら参加してもらえるのか、町会以外にそのようなことを毎日のように考えて行動している集まりはないと思っています。町会を維持するために、町会に加入してくださいというのは、そのまま、色々な形でのコミュニティづくりの基になるものではないでしょうか。

私のところは、小川町で1丁目~3丁目があります。北は駿河台でお茶の水の駅、西は神保町になり、神田公園地区の端っこになります。この地区は、戦前は小川町北部町会として一つの町会でしたが、戦後、GHQの指導で四分割されてた。戦前からかなり活動が活発だったので、お若い方は知らないと思うが、戦争を誘導した下部組織が町会ということでGHQから目をつけられて分割されてしまったのです。この四町会は、兄弟町会ということで、財布は別だが、何でも一緒にやるようにしています。

先ほどお祭りの話もでましたが、祭りでは各町会それぞれ神輿を持っており、連合という一固まりになって出すこととなっています。この地区では、小川町と神保町、猿楽町を神田中央連合として、4から5機の神輿をひと固まりにして出しています。大きな町会では連合を組まなくてもいいが、うちでは一緒にやっています。その代わり、お祭りの時には一切助っ人を頼まず、200~250名の担ぎ手が自前で集まるようにできています。

地域として小川町では、マンション問題はさほど問題にならないが、企業が移ってくるというところで、そういう方に町会に入っていただけるように働きかけをしているところです。企業の方は、会費は払ってくれるが、なかなか行事には参加してくださらない。どうしたら、社員の方も町会の行事に参加してくれるのかというのもずっと考えています。

マンションもゼロというわけでもないし、計画もされているので、マンション問題は地域の大きな問題です。そういった中で、この勉強会が始まるまでに気づいていなかったことは、外部からの町会の見え方です。私たちは町会に入ってもらいたいので、町会を説明しようという姿勢についついなってしまうのですが、今回、初めて、外部から町会がこう見えるのかということに気づかされた。私たちが想像もしていなかったような視点でみているのだということがわかり、私たちの存在は「おっかないじいさんがいる、関わるとやっかいなことになりそうだ」と思われているということもわかった。恥ずかしがらずに皆さんの前に顔を出して、これから町会のことを伝えることをしていきたいと考えている。この地域で起こっていることは大問題ではあるが、それもよりも、私たちからすれば、私たちの気持ちの持ち方を変えなければならないということがこの1年間で大きく気づかされたことだと思います。

斎藤会長(内神田鎌倉町会)

今日はたくさんの方にお集まりいただきまして、千代田区のことを考えてご興味を持っている人がこんなにいることをうれしく思っています。

2020年は東京オリンピックの年となっているが、千代田区で考えるともっと意味があります。徳川家康公が、240万石と豊臣秀吉公に言われ、江戸に出てきたのが、1590年であり、そこから430年の年です。430年の間に、どれだけたくさんの人がここでコミュニティを作ってきたことに思いをはせます。その時代によってあり方や暮らしも違っていますが、今、私たちが、ご縁があって、千代田区に暮らしている人、学んでいる人、お仕事されている人が、みんながこの時代を、この地域で一緒に過ごしているということ、地域のコミュニティであるということを確認して、それぞれが豊かな人生を送り、お仕事が成功されるといいなと思っています。

今、制作している冊子を通じて、地域や町会のことをもっと知ってもらって、どんどん町会に入ってもらえることを期待したいと思っています。

神田公園地区連合町会について、もっと知りたい方は、
連合町会のウェブサイト「大好き神田」へ!