【ゼミ 第3回:レポート】地域の課題とマンションの課題を考える

「マンション・コミュニティ・ゼミ」の第3回が2017年8月2日(水)19:00~、千代田区役所内の会議室にて開催されました。

今回のテーマは「地域の課題とマンションの課題を考える」。当日の内容を一部、抜粋し、お届けします。

問いの立て方を考える

最初に、進行役の広石より第2回の内容の振り返らせて頂きました。

その後、2つの質問について、2つの班に分かれて考えて頂きました。

1つ目の質問は

あるアート教室の広報を手伝ってもらうには?」というもの。

美術の先生がアート教室をはじめたものの「アートは良いものなので、一緒に広報してください」と地域の人に頼んでも動いてくれなかった。どうすれば広報を手伝ってもらえるか?

それぞれの班からの回答は下記の通り。

  • アートというテーマが狭いので、もう少し幅広いテーマを設定してみては。
  • 既に興味がある人は動いているはずなので、手伝おうとはならないのではないか。
  • 手伝う人に対し、どういう価値を提供できるかが明確でないと難しい。

それに対して、広石からは「アートは良いもの」からはじめると手伝ってもらうのは難しく、「地域課題」を設定することの重要性を話しました。

例として挙げたのが岡山のサッカーチーム「ファジアーノ岡山FC」。

現在の社長が就任する前は「サッカーは良いものだ」を前に押し出してスポンサー集めようとしていたが上手く行かなかった中で、新たに社長が就任後は意識を変え、「今の岡山においてスポーツで盛り上がるのはどんな時か」と地元の人に聞くようにした。

当時は、阪神が岡山の球場を使うくらいしか無かったという「地域課題」を共有することで、「その盛り上がりを毎週作りたい」というメッセージを前に押し出すことで、地元のファンが増え、スポンサーを10倍に増やすことに成功した、という話。

共有できる課題を設定することが大事です。

2つ目の質問は「来やすい場所はどういうものか?」。

気楽に集える場所がまちにあればと思い、コミュニティスペースを作った。

「好きなことをしに、いつでも気楽に使って下さい」と広報したが、利用者は増えなかった。

どうすれば利用者が増えるか。

それぞれの班からの回答は以下の通り。

・参加するに当たって誰が運営しているかが大事。区や社協など公の運営であれば安心できる。

・何か目的がないと人は集まらない。

・ご自由にどうぞ、だといかがわしいところだと思ってしまう。

それに対して、広石からは「わざわざ行くハードルを乗り越える理由」をつくることが大事と話しました。

例として挙げたのは、マンションの共有スペース

多くのマンションであまり利用頻度が高くないのは、どう使えば良いかがわからないから。

共有スペースを使ってイベントなどをするに当たって住民の方への声の掛け方や運営方法についてイメージが付くようなアナウンスをしないと使う側が困ってしまいます。

ハードルを乗り越える十分な理由をつくることが大事です。

つながりのきっかけになるのは「問い」。

実現したいことが共有できているのに、どうしたら良いかがわからない状況です。

それを問いかけることで、人が集い、考えや知恵・経験を自己開示します。

お互いに助け合える関係を実感できることが、コミュニティへの第一歩になります。

そんな「問い」を地域に置き換えて考えた時、地域で分かち合える問いが「地域課題」

そんな地域課題を分かち合うことで

  • 地域の現状の共有
  • 地域の理想像の共有
  • 理想の実現に向けて足りないことの共有

ができます。

ワーク:千代田区の地域課題について考える

そんな地域課題について考えるワークとして、千代田区の地域課題をまとめた「ちよだみらいプロジェクト-千代田区第3次基本計画2015-」の内容について千代田区コミュニティ総務課の橋場よりお話させていただいた後、7つのカテゴリごとに個人で問いを考えて頂きました。

7つのカテゴリは以下の通り。

1.子育てしやすいまち

2.高齢者になっても住み続けられるまち

3.都心で水辺に住めるまち

4.人とのつながりが持てるまち

5.自転車が利用しやすい環境にやさしいまち

6.災害に備え「協助」が確立されたまち

7.安全で、ホスピタリティ溢れる魅力的なまち

ポイントは以下の3つ。

  • このテーマは大切だけど、この部分はどうなっている?
  • この未来を実現するには、これを考える必要があるのではないか?
  • この課題について、区民の人たちはどう感じ、どう考えている?

問いは、例えば

  • 「1.子育てしやすいまち」というカテゴリについては、「子育て支援サービス充実は大切だけど、親同士のつながりや助け合いはどうやったらできる?」
  • 「4.人とのつながりが持てるまち」というカテゴリについては、「プライバシーを重視しながら、風通しの良い関係というのは、どうやったらできる?」

などになります。

当初は、書けるカテゴリだけ書いてくださいとアナウンスしましたが、多くの参加者の方々が全てのカテゴリで問いを書いてくださいました。

皆さんに出していただいた問いは以下の通り。

1.子育てしやすいまち

  • 駅にエスカレーターを増やしてほしい。ベビーカーで電車、地下鉄に乗り降りするため
  • 歩道を広くしてほしい
  • 霞が関の保育園も希望に入れないとベビーシッター補助対象にならない(待機児童にカウントされない)
  • 共働きってどうですか(待機児童ゼロと転入の関係)
  • 公園で遊ばせるには?親同士が交流するには?
  • 地域で子育てができるようにするためには何をしたらいいのだろう?
  • 17時以降や祝日に子供を遊ばせられる場所がない、公園はたばこくさい
  • 「子育てしやすいまち」とは? 親御さんや保護者の立場や環境によって変わるので、イメージを共有するところから考える必要があると思う。

2.高齢者になっても住み続けられるまち

  • 定年サラリーマンが「うつ」に入り込まない仕掛けが必要
  • 足が不自由になっても車いすがあれば外で活動できるようにしてほしい。そうすれば、千代田区に住み続けられる。
  • ご近所の世話になるか?お金で解決しますか?
  • 個人情報保護方に抵触しない範囲内で自分の住まいの周りにどのような高齢者がいらっしゃるのか把握できないか
  • 高齢者ができるレベルにボランティアを分解する。
  • 保育園の送迎も頼もうにも電車3駅だと手が挙がらない
  • 90歳を超えた高齢者の病院の付き添いをした経験(社協のフタバサービス)から、優先受信サービスはできないか。予約したのに3時間近く待たされた高齢者にはきつい。
  • 独居でも安心して住み続けられるにはどうしたらいいか?
  • 健康に関心を持たない人に、健康寿命をのばす事を考えてもらうには?

3.都心で水辺にすめるまち

  • 親しめる水場が身近にない? 公園のビオトープも衛生面優先で水のないことが多い。神田川や皇居のお堀もどうか。
  • 水上マーケットみたいな人が集まって水に関心が得られるようなすることから始める
  • 公共が千代田区の宙になるが、水質が水草で大変汚れている。区民協力のもと全部水を抜いての大掃除ができないか

4.人とのつながりが持てるまち

  • 「私お腹に赤ちゃんがいます」のタグがバックに付けにくい(だからどうしたの?と思われている気がする)との声を聞いた
  • 町会に加入したとしたら、町会の活動を知り易くするためにはどうしたらよいか(SNSの活用など)
  • つながる必要性はありますか?
  • 在住年数で保育園が決まるので以前からの住民のこどもと新住民の子供に接点が(小学校まで)ない。
  • 「ちよとも」の拡大。地区ごとのれん分け。合同ワールドカフェを武道館で!

5.自転車が利用しやすい環境にやさしいまち

  • サイクルロードを確保する。自動車に乗るのが危険と感じる、
  • 自転車専用レーンができても駐車が多くて安心して走行できない
  • 車道の端は走れるが多くの方々は歩道を利用しているので、自転車も走りやすい歩道の整備(段差をすくなくするなど)を進めるためにはどうしたらよいか
  • ちよくるでポートに着いてみると満車
  • サイクルポートと同じようなシステムで車いすが利用できるようにしてほしい
  • 身体障碍者が自由に街歩き、買い物などができるように車いす(電動)を簡単に利用できるような環境を作ってほしい
  • 急に自転車が増えて危ない 安全運転の教育が遅れている

6.災害に備え「協助」が確立されたまち

  • マンション内に備貯品があると思うが、期限切れが近くなったら住民に飲んでもらって(試しに食べて)、新しく備蓄を考える
  • 障害や機能低下があっても安心して住めるためには?
  • 行政・企業・学校がバラバラで実施している防災訓練を一本化しては? やり方もマンネリ気味。もっと楽しく斬新に
  • 避難所に行きますか?
  • 帰宅困難者を受け入れる場所が都の建物くらいしか事前に公表されていない(台東区はやっている)
  • 地域にいろんな立場の人がいて、どのように協助ができるのか漠然としすぎて、町会での検討等も難しい。
  • 災害に備えた用具に日本語しか書いていない

7.安全でホスピタリティ溢れる魅力的なまち

  • お年寄りや子供にやさしい、ゆずり合う気持ち
  • 町会、管理組合が警察、消防ともっとコミュニケーションを図るためにはどうしたらよいか
  • 駅前にあやしい勧誘が多い
  • 困っていていそうな人がいても、見知らぬ人だと声をかけづらい。居住者よりも在勤者や訪問者が多く、気持ちはあっても身構えてしまうし、スキルもないのでかえって迷惑かと躊躇してしまう。
  • 外国人にも一人一人がおもてなしができる町づくり
  • 桜の名所があったり、皇居、秋葉原など観光に、買い物ができたりと拠点は充実しているが、観光協会がパッとしない。新宿観光振興協会のようにNOと言わせないホスピタリティサービスを作ってほしい

書いて頂いたシートを大きなテーブルに一通り並べた後、「自分も関心ある・興味ある」と思うものに赤シールを、「自分の地域やマンションにとって重要」と思うものに青シールを貼ってもらいました。

その中で貼られたシールが多かったものについて、個別に「問い」の詳細を話してもらいました。

一通りの発表が終わった後、簡単に次回のゼミと9/10(日)に開催する公開対話のお知らせをし、第3回のゼミは終了しました。

「問い」を書いてもらっている時と、他の人の「問い」を見ている時の一生懸命な眼差しが印象的でした。シールを貼っている時は、ところどころから笑いや議論が巻き起こり、これまでの3回で一番の盛り上がりとなりました。

千代田区における「問い」の数の多さにも驚かされましたが、まだまだこれから解決できる課題が多いことに参加者の皆さんもワクワクされたことと思います。

以上で、第3回「地域の課題とマンションの課題を考える」のレポートは終わります。

次回は、第4回のレポートをお待ちくださいませ。

※マンション・コミュニティ・ゼミは、まだ追加での参加者を募集しております。

参加を希望される方は下記よりお申込みください。

http://chiyolab.jp/archives/2090