マンション・コミュニティ・ゼミより

コミュニティの基礎知識(2)~ 現在のコミュニティの課題と必要なこと

現代の都心で、マンションで、コミュニティをつくるとは、どういうことで、どんな意味があるのでしょうか? また、人のつながりをつくり、コミュニティを醸成していくには、どのような取組が必要になるのでしょうか?

コミュニティづくりのヒントとしていただくために、マンション・コミュニティ・ゼミでの内容をもとに、基本的な考え方を紹介していきます。

前回は、コミュニティが変わってきているとお伝えしましたが、今回は現在のコミュニティをめぐる状況を、もう少し詳しく考えてみたいと思います。

現在のコミュニティをめぐる状況を考えてみると、コミュニティづくりに難しい要素が多数あることがわかります。

  • 住む場所を選ぶのは自分の仕事・生活に都合がいい、部屋がいいから選ぶ人が大半で、町の人との関係を重視して選ぶ人は少ない。
  • 今の場所に、いつまで住むか、わからないと考えている人が多い。賃貸の方は特にそうですが、分譲の人も別の物件を買い替えるなどする可能性を持っています。
  • 地元の会社や店で働く人の比率が下がっていて、職場など他で過ごす時間が長く、町から朝早く出て、夜帰る人が多くなっています。
  • プライバシー重視の中で、自分の考え、過去を広く知られたくない人も増えています。
  • 町の人と交流したいと思っても、そもそも会話をしたことがない人が大変ですし、知り合うきっかけが見えにくいと感じています。
  • 町の歴史や起きた出来事など地域に昔から住む人の話を聞く機会もないので、愛着を持ちづらいというのもあります。
  • 地域のことは既にできあがっているコミュニティで決められていて、町のこと・役員・議員などは、どこかで決められている感じがして、自分の関わる余地があるのか、何ができるのか手応えを感じづらいところがあります。

このような状況は、地域コミュニティや町会の姿を変えてきています。ちよだコミュニティラボで、神田公園地区連合町会のミーティングで出された意見をまとめたところ、町会にも下記のような変化が起きていることがわかりました。

このような時代に、コミュニティを構築していくには、次のような要素が必要となってきます。

コミュニティとなる6つの条件

  • 集う人が乗り越えるべき課題を共有していることの自覚
  • それぞれの目指す姿(ゴール)を分かち合う・受け容れあうこと
  • それぞれの人、グループの歴史など文脈の共有
  • ある程度の時間を共に過ごす
  • 集う人同士の相互のやりとりの活発さ
  • プロセスの情報共有意思決定への参画機会

同じ課題や実現したいことを共有する、しかもそれがなぜ大切なのかを分かち合っていること。さらに、一定の時間を一緒に過ごし、他の人の話を聴いたり、自分も言ったりする中で、お互いになじんでいること。そして、自分にも情報がまわってきて、かつ自分の考えを表明したり決定に参加したりして一員としての手ごたえを感じれること。

これらの要素を集う人が体感していく中で、コミュニティになっていきます。

人が集まってすぐには関係はできません。時間がかかります。しかし、ただ時間だけかければいいのではなく、上記のような要素を体験していけるようなプロセスを設計することが大切なのです。